衆院沖縄選挙区「2勝2敗」でオール沖縄に衝撃
- 2021/11/3
- 政治
「事実上の勝利」に自公協力が奏功
「2勝2敗なら大健闘だ。事実上の勝利と言っていい」
今衆院選を前に、自民関係者はこう繰り返し展望を語っていた。「2勝」の念頭にあったのは、17年に奪還した4区と、共産に当選を許している1区だった。しかし、自民党本部の調査は「1勝3敗」の情勢予測を伝え、選挙戦が進むに連れて1区は敗戦濃厚となっていく。最終盤の党調査では、勝利が見込まれる4区以外は調査対象から外れていた。
ことほど左様に下馬評通りとならなかったのが3区だった。19年4月の補選では屋良77,156票、島尻59,428票で屋良に軍配が上がっている。あれから2年半、島尻は捲土重来を期して、地元をくまなく回った。14市町村にまたがる広大な沖縄3区で今回、12市町村の得票数で屋良を上回ったことがそれを裏付ける。
18,000票近い差を島尻がひっくり返した原動力として指摘しておかなければならないのは、公明党との選挙協力だ。公明は今回の衆院選で、九州比例に元沖縄県議の金城泰邦を擁立。金城はかつて沖縄1区を地盤とした公明の白保台一・元衆院議員の秘書を務めた経験があり、公明は白保以来16年ぶりとなる沖縄出身国会議員を誕生させるべく、従来以上に運動に熱を入れ、自民に選挙協力の徹底を迫った。
特に自公の選挙協力が奏功したのが、自民が当選を果たした3区と4区だ。今回の比例で公明は沖縄県全域で12万9467票をかき集め、過去最多得票を記録した。大票田となる県内11市の内訳を見ると、最も得票率が高かったのは石垣市で有効投票数の27.9%、次いで名護市25.7%、南城市24.8%、うるま市と沖縄市がそれぞれ22.7%、宮古島市21.0%と3区と4区の市がずらりと並び、選挙協力の徹底ぶりが窺える。公明の比例名簿で3番目の登載だった金城泰邦は、10月31日夜に開票が始まると、早々と当確を決めた。
その直後、3区の島尻に当確の報道が舞い込んだ。選挙戦ではコロナ対策や沖縄振興を訴えた島尻だが、当選の弁で記者団に辺野古の問題について問われ、こう答えた。「普天間の一日も早い危険性除去を訴えてきた。3区でご支持をいただいたことは、大変重い判断をいただいたと思っている」
3区では2022年1月に名護市長選が控える。島尻陣営に入っていた関係者は「いい流れができている」と語り、年明けを見据える。