1月17日投開票 宮古島市長選の行方は

 


 任期満了に伴う宮古島市長選が17日、投開票される。

 10日の告示後、届け出順に前県議の新人座喜味一幸氏(71)=社民、共産、社大、立民推薦=と、4選を目指す現職下地敏彦氏(75)=自民、公明推薦=の2人が市内で舌戦を繰り広げきた。結果は沖縄県政の行方をも左右することから、県内のみならず中央政界も支援に乗り出し、動向を注視している。

過去最多ペースの期日前投票


 宮古島市は2005年に5市町村が合併し誕生した。市長選は同年以降4年おきに実施され、無投票だった13年以外は選挙戦になっている。下地氏は全ての選挙に出馬しており、09年から現職。告示翌日の11日から市内5カ所で期日前投票が始まっている。4年前は市役所旧平良庁舎の1カ所だけだったが、今回は投票場所が増えたこともあり、期日前投票が過去最多ペースで推移している。


 宮古島市選挙管理委員会によると、15日までの5日間で期日前投票を済ませた有権者は1万1868人。残り1日を残した段階で、有権者4万4916人(男性2万2602人、女性2万2314人)の26・4%に相当し、過去最多となるペースで推移している。前回17年は期日前投票の占める割合は有権者数の27・8%だった。4年前の投票率は68・23%で、新型コロナウイルスの影響もあって両陣営とも前回を上回ることはないとの見方で一致。ともに1万5000票を当選ラインと見込む。

県政奪還に照準


 沖縄県内で今年最初の市長選を、政権与党の自民は県政奪還への「初陣」と位置付ける。菅義偉首相は昨年12月から自身の秘書を現地に派遣しており、自民党職員も年明けから常駐。沖縄の国会議員や県内の保守系首長らも続々と宮古島に駆け付けている。視線の先にあるのは、来年秋に任期満了を迎える沖縄県知事選だ。宮古島の後には2月の浦添市長選、4月のうるま市長選が控え、自民県連関係者は「全て(来秋の)前哨戦になる」と語る。


 宮古島出身で影響力や知名度がある下地幹郎衆院議員(59)=無所属=も現職支援に回る。幹郎氏は前回も現職を推したが、その後カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業の汚職事件に絡み日本維新の会を除名された。今回の市長選で協力姿勢を見せ、自民復党に弾みをつけたい狙いもあるようだ。
 今月14日には、幹郎氏と親交のある旧沖縄開発庁長官の鈴木宗男参院議員(72)が来島。伊良部大橋の架橋事業に関わった実績をアピールし、街頭演説で敏彦氏への支持を力強く呼び掛けた。


 気になる市長選の情勢だが、下地陣営の関係者は「自民党の調査で昨年12月まで相手にリードを許していたが、追いつき、逆転するところまできた。いい流れになっている」と分析。相手候補の座喜味氏はもともと自民公認の県議で、保守分裂の様相も呈しているが「保守票を切り崩されるという大きな動きはそれほど感じない」とみる。

宙に浮く陸自配備

 一方の座喜味陣営は、玉城デニー知事(61)や社民、共産などが結集する「オール沖縄」のバックアップを得ながら選挙戦を展開。座喜味氏が保守系の流れをくむ政治家であることから、保革を乗り越えた市政刷新を打ち出す。
 玉城知事は13日に現地入りし、スポット演説をこなした。かつては県議会で野党の座喜味氏から追及を受ける関係だったが「あらゆる世代、格差のない沖縄を作っていきたいという思いから丁々発止戦ってきた」と持ち上げ、支持を呼び掛けた。「オール沖縄」を支える国会議員も相次いで宮古島を訪れている。


 気になるのは、選挙戦での陸上自衛隊配備計画の扱いだ。配備反対の革新勢力が支援する座喜味氏は、「容認」の姿勢を掲げている。下地氏、座喜味氏の双方が容認する選挙戦となっており、争点ぼけしてしまっている状況だ。
 15日の定例記者会見でこの点を問われた玉城知事は「計画ありきの配備にならないよう、住民と十分な対話の機会を設けて理解を得ることが肝要だ。やみくもに賛成で、議論なく進めることを諒としているわけではない」と述べた。


 こうした選挙戦に、配備計画に反対してきた市民グループからは不満も漏れる。座喜味陣営の関係者は「無党派層や保守層といった分厚い層を取り込まなければ勝機はない。まずは反現職でまとまることが大事で、配備反対で戦うことは正攻法ではない」と打ち明ける。その策が奏功しているのかどうかは、投票箱が開けられる17日夜に明らかになる。


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