域内30機関を連携、確実な医療提供 沖縄県北部のコロナ対策
- 2021/10/9
- 新型コロナ・医療
陽性者全員が速やかな受診 自宅待機者ゼロ
陽性者全員が速やかな外来診察を受けられるように“交通整理”をしていることも特筆すべきことだと言える。これにより自宅待機となり不安の中過ごす人や、入院可能な医療機関を求めて右往左往する例は皆無だったという。
陽性者について情報を届けられた北部保健所は、受け入れ先の医療機関である県立北部病院と北部地区医師会病院に対して受診調整を行ったことで、医療機関に行けないまま自宅待機の判断が下されるなどの状態を避けることができた。同じようにして濃厚接触者の検査も両院に振り分けられた。
「人口当たりですと、北部でも他の地域と同じぐらいかそれ以上の率で陽性者が出たのですが、適切に2つの病院に振り分けることができたわけです」(宮里医師)
院内では他の患者との導線を完全に分けて行った。「患者が適切な受診をできるよう、病院の事務職も相当に頑張ってくれました」と現場の努力をおもんぱかる。
全ての受診者「対面で適切に状態評価」
受診調整の際には、医療機関を受ける前に事前の電話問診を行い、病院受診時には専用の診察室で全てのケースにおいて血液検査と胸部X線撮影、必要に応じて胸部CT撮影を行う。宮里医師は「患者の状態を、基礎疾患などの有無も含めて、対面で適切に評価することは非常に重要です。患者にも『あなたの検査結果はこうですよ。我々がちゃんと面倒を見ますから』としっかり説明をすることで、安心してもらうことができます」
濃厚接触者についても、北部保健所から両病院に検査を依頼し、陽性となった場合には原則として検査を受けた病院で受診ができるようにしている。すぐに感染状況の把握や医療対応をすることで、職場や家庭内での二次感染を抑え込む効果もある。
自宅・ホテル療養でも毎日対応
このような連携体制による直接診察・検査で、患者の治療体制を決定した。中等症Ⅰ以上の患者は入院でき、軽症でも重症化のリスク因子がある患者も病床があれば入院できる。無症状や軽症者の場合は、高齢の同居家族の有無、家族の数などの生活背景なども聞き取った上で、自宅療養かホテル療養かを決定する。
ホテル療養になった場合は、医師が必ず朝と夕に回診を行い、自宅療養となった場合は隔離解除となるまで最低でも1日1回は電話で健康状態を確認する。これらの対応により、自宅療養中に死亡するという痛ましいケースを回避できている。
「沖縄全体として見ても、他府県と比べて地域医療は進んでいます。医師会の先生方の『地域のことは地域で診よう』という意識が高いからです」