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「こども庁」構想に迫る③真のチルドレンファースト社会の実現を
- 2021/9/1
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子供の自殺、貧困、いじめ、不登校、虐待、そして少子化。日本の子供たちを巡る危機的状況の打開に向けて政府が打ち出したのが「こども庁」構想です。特に沖縄では、いじめや不登校の割合が全国に比べてとても高い水準にあるなど深刻な状況に陥っており、「こども庁」の実現は、沖縄にも大きな影響をもたらすものです。縦割り行政を打破し、国がワンチームになって強力に取り組もうと、ついに与党、政府が本格的に動き出しています。省庁の縦割り打破は菅総理の代名詞でもあり、政権発足後、まず一番に「デジタル庁」創設を打ち出したことはよく知られています。
既得権益を守ろうと抵抗する政官財の「鉄のトライアングル」を乗り越え、真のチルドレンファースト社会の実現なるか。紆余曲折必至の一大プロジェクトは、今後どのように進んでいくのでしょうか?沖縄の教育業界からも注目されている「こども庁」構想に3回シリーズで迫る第3回目。
自民党での議論に始まり、政府は7月に初会合
こども庁構想は、山田太郎参議や自見はなこ参議をはじめとする自民党の有志で立ち上げた「Children Firstの子ども行政のあり方勉強会」での議論からスタートしました。議論は2月に始まり、4月には菅首相に直接こども庁創設を提言。これを受けた菅首相は、二階幹事長に党を挙げてさらに検討するよう指示し、二階幹事長を本部長とする「『こども・若者』輝く未来創造本部」が新たに設置され、党内での本格的な議論が始まりました。そして、6月には「『こどもまんなか』改革の実現に向けた緊急決議」を採択。いよいよ議論のボールは政府側に投じられます。
約1か月後の7月7日、政府は「こども政策の推進に係る作業部会」を立ち上げ、初会合を開きました。加藤官房長官をはじめ、関係省庁が揃って出席する中、年末までに基本方針を取りまとめるスケジュールが示されたのです。
政府の会議開催が意味するもの
政府の会議で取りまとめられるこの基本方針。これはつまり、年末までに、こども庁の組織体制や所管業務などの大枠が、案として初めて政府側から示されるということです。これまで水面下での官僚の根回しがたびたび報道されていましたが、これからは公式の会議において一定の決着を目指すわけですから、省庁間の調整は本格化し、そのせめぎ合いは一層激しさを増していくこととなります。
「こども政策の推進に係る作業部会」の構成員は、座長を内閣官房副長官とし、各省庁からは官房長や担当局長が参加する形となっていて、総理や各大臣で構成するような最終的な結論を出すための会議ではありません。まずは各省庁の事務方で調整して考えを整理するという段階なので、政治的な動きが白熱する一歩手前ですが、そこに向かって敷かれるレールの1本目ですから、この基本方針は大変重要な意味を持ちます。あるいは、今回の段階では、なかなか決着できない論点を多く残してしまい、具体的な案にならない可能性もあります。どこまで具体的に踏み込めるか。ここが、基本方針の一つ重要なポイントとなるでしょう。