アフターコロナの沖縄で生き残るためには 福田淳さんが講演
- 2021/8/29
- 経済
アフターコロナを見据えた沖縄の観光や農業のブランディングなどをテーマに、ブランドコンサルタントの福田淳さんを講師に迎えたオンライン講演会が8月14日に開かれた。
「沖縄にはアフターコロナの世界でロールモデルになりうるポテンシャルがある」「観光面での大きな飛躍を望むのならば、東アジア圏域で沖縄中心の経済圏を成立させるという視野で考えなければいけません」といった言葉も飛び出し、2部に分けた講演で約3時間に渡ってさまざまなトピックについて語った。
講演会は当初沖縄県立博物館・美術館で開催する予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて有観客での講演は中止。南城市の配信スタジオからオンライン配信に切り替えた。沖縄県内の中小企業や個人事業主などを対象に、SNSを利用したマーケティングのノウハウ・スキルについての学びを提供する「Business Style Academy おきなわ」(BSA)が主催した。
「沖縄は農業で世界一になれる」
講師の福田さんはコンサルタント業務のほか、俳優の「のん」さんなどのタレントエージェントやロサンゼルス拠点のアートギャラリーの運営を始め、活動は多岐に渡る。過去にはアメリカで衛星放送「アニマックス」や「AXN」などの立ち上げにも携わった。現在は南城市でも、現地の自然を生かすリゾート開発やハイテク農業なども手掛けている。
講演の第2部で福田さんは、沖縄のブランディングにフォーカスした内容を独自の視点で掘り下げた。先ずは観光の課題について「立地は最高なのに良いホテルがないのが問題」と手厳しい意見で口火を切る。
「人が流入するためのエアラインもまだ圧倒的に少ないと思います。加えてリピーターを生むためのコンテンツも足りません。『沖縄と言えば海』といった固定イメージで捉えられているうちは、人は2回も3回も来ません。沖縄県内には多様な文化や深い歴史があるということをもっと生かさなければもったいないと思います」
農業についても、放棄された農地の活用について「『借りたい人』と『農地を運用できていない農家』をちゃんとマッチングすれば、活用の余地が大いにある」と指摘する。
ロボティクス導入で人件費を抑えつつグローバルな展開も見込み、さらにフードロスを生んでいる規格外の農産物こそが「無農薬で一級品の証」として、農家が付加価値をつけて直接販売するシステムを構築することで収入・効率をともに上げることも可能だと提案。「沖縄の特徴的な立地は、農業で世界一になれる条件が揃っていると思います」と断言した。
「自分のことを理解した上で、自分がどんなものを持っていて、どんな良い所があるのかをきちんと説明できることがブランディングでは大事です」と福田さん。失敗してもそれを受け入れてくれる、自由な社会を築ける土壌が沖縄の特徴的な“良い所”だと強調した上で「これまでできていなかったことをDX化して、沖縄の人たちが生活者目線で課題解決や新事業に取り組むことで、新しい沖縄の未来が拓けることに期待しています」と話した。