県内企業約半数が「正社員不足」 全国で3番目に高い水準
- 2021/6/15
- 経済
帝国データバンク(TDB)沖縄支店は今年4月の「人手不足に対する沖縄県企業の動向調査」の結果を発表した。正社員が不足している企業は前年同月比23.9ポイント増の49.3%で、全国で3位の水準となった。新型コロナウイルスの影響を受けていなかった2年前(62.3%)からは10ポイント以上も下回ったが、1年前(25.4%)からは増加。コロナ禍においても経済活動が前年よりはある程度は動いていると見られ、企業における人手不足感が高まっている現状が示された。非正社員では、不足している企業は22.0%だった。
人手不足と雇用継続困難の二極化
同支店の末永真基氏は「コロナの影響による人手不足感の推移は全国的に同じ傾向だが、沖縄は全国3位で高い数値にあるのが特徴」とし、「とりわけ大企業においてはコロナ前よりも人手不足の割合が上昇しており、巣ごもり需要などもあって比較的経済が動いているのが現状ではないか」と分析している。
4月は県独自、まん延防止等重点措置適用も含めると4回目の緊急事態宣言が出され、経済活動はある程度制約された状況となった。未だコロナ禍にある中、県内企業の動向には堅調に回復していく過程で人手が不足している企業がある一方で、雇用の継続に苦慮している企業との「二極化が表れている」という。
正社員について「不足」していると回答した企業の割合の49.3%という数値は、島根(52.6%)と岩手(50.5%)に続く全国3番目の高い水準。他方で「適正」と回答した企業は前年同月比11.8ポイント減の40.6%、「過剰」としている企業は10.1%だった。
不足している企業の規模別の内訳は77.8%が大企業で、コロナ以前と比べても高い数値となっている。次いで45.0%が中小企業、小規模企業は25.9%となっている。
非正社員では「不足」と回答したのは22.0%で、コロナ初期の前年同月よりも8.0ポイントの増加。「適正」は62.0%で6割以上の数値となった。不足の企業を規模別でみると大企業が25%、中小企業が21.4%、小規模企業が22.2%で、規模問わずそれぞれ2割程度が人手不足を実感している。中小・小規模の双方で、正社員とは逆に前年同月より増加し、2年前よりは低下しているのも特徴だ。
恒常的人手不足と低賃金という課題
直近2年の人手不足の割合をみると、2019年には正社員が約6割、非正社員が約3~4割で推移している状態だったが、最初の緊急事態宣言となった2020年4月には双方ともに人手不足の割合が大きく減少。しかし同年翌月から夏にかけては緩やかな増加傾向にあった。その後2021年1月の緊急事態宣言で正社員は再び減少、続く4月の「まん防」適用と4度目の緊急事態宣言の際には非正社員が減少しており、感染者数の増減と行政の対策によって割合の数値が振り回されていることが如実に分かる。
調査結果では、前年同月比をみると全体的に人手不足感は高まっており、特にコロナの影響が大きくなかった不動産業、運輸・倉庫業、医療機関などの専門職が顕著だと指摘。感染拡大の初期は非常事態ということで人手不足感に低下が見られたが、そもそも沖縄は恒常的な人手不足状態だった上に景況も全国最下位の水準だった。
末永氏は「給与が全国的にも最低ランクという根本的な問題が大きくあるので、そうした部分を克服する抜本的解決策を施さなければ人材を確保するのも難しいと思う」と話した。