沖縄黒糖なぜ8離島だけで生産? 官民で目指す在庫一掃販路拡大
- 2021/6/10
- 経済
沖縄県内で古くから生産されている黒糖。その歴史は1623年に儀間真常が明(現在の中国)に遣いを送り黒糖の生産技術を学ばせたことが始まりだと言われている。近年は黒糖の生産が増加する一方で、販路が固定化され在庫を抱えていることなどから、県は販路拡大を急ぐ。県の担当者は「沖縄黒糖を使った商品には、かりんとうや飴といった従来品が多い。新しい消費口を、既存の黒糖製品とぶつかり合わない形で開拓していかなければいけません」と、黒糖の“新しい顔”を模索する。
増産する黒砂糖と在庫問題
国内生産の9割以上を占める沖縄黒糖の生産量は、データが示されている直近の10年間の平均値が7899トンである中、台風の少なさなどからサトウキビが豊作で、2016-17年期の9642トンから始まり3年連続で9000トンを超えるなど、増産傾向にあった。
しかし、黒糖の卸売業者や販路が限られているため、増産したとしても最終的に消費者に届く総量としては大きく変わらず、卸業者らが大量の在庫を抱えることとなってしまった。タイや中国といった外国産の黒糖に価格面では太刀打ちできないという点も指摘されている。
そこで沖縄県農林水産部糖業農産課は、新たな黒糖販売先を確保すべく、沖縄振興一括交付金を活用し、2020年度から「沖縄黒糖販路拡大推進事業」を実施している。
同課の安藤緑樹さんは、余剰分の黒糖について「黒糖の保存性自体は良く、一定の管理を行えば品質を落とさずに数年以上は持ちます」とするものの、「在庫を販売していきながら、新たな黒糖の生産・販売を回していく必要があります」と述べる。同課の内間亨さんは「そのためにも既存のマーケット以外での販路拡大に向けて取り組んでいます」と話す。