進む県産品の台湾進出 製造力乏しく好機逃す課題も 掴め2300万人市場

 
日商沖縄物産企業連合台湾営業所の陳保佑所長(中央)=2019年10月、台北市内

 沖縄から一番近い海外・台湾。その距離的な近さや文化・歴史的な結びつきから、沖縄の物産品が台湾でブレイクする例がある。一方で、沖縄の製造業の規模の小ささから、なかなか県内企業の海外展開が上手くいかず決定的なチャンスを逃す場面も。台湾市場での商品展開などについて、日商沖縄物産企業連合台湾営業所の陳保佑所長に現状や課題を聞いた。「健康長寿の島」のイメージから、バイオ産業の拠点となって国内外からの企業誘致も提案する。

沖縄のゴーヤーが形を変えて台湾で人気

 「分解茶って知っていますか?」と陳さん。人口約2350万人の台湾で、ペットボトル商品が年間400~500万本生産されており、スーパーやコンビニでも気軽に手に入れられるという。脂肪を分解する働きがある機能性飲料だ。

分解茶など沖縄関係の物産品(陳さん提供)

 原料にはゴーヤーが使われているというが「ゴーヤーは全部、沖縄産です」。生産が始まってことしで12年目の比較的新しい商品だが、台湾では一般的にお茶として飲まれるだけでなく、酒の席でも、割り用やチェイサーとして親しまれているという。「台湾料理は脂っこいですからね」と、油分をスッキリさせる効果もある。

 もともと台湾にもニガウリはあるが、沖縄のゴーヤーと違い、白っぽくてイボイボのない形状で、品種が異なる。沖縄の緑のゴーヤーに含まれる成分が注目されてポピュラーになってきた結果、台湾の野菜売り場では5、6年前ほどから「白いゴーヤーと緑のゴーヤーの量が逆転しました」と話す。

白と緑のゴーヤー(TINY URBAN KITCHENより引用)

 「沖縄のゴーヤーがないと、台湾はもう困るんですよ」と陳さん。沖縄の太陽を受けたシンボル的野菜が、海の向こうでも大活躍だ。

塩やウコン、黒糖も台湾で市民権

 台湾の枝豆の枝豆輸出量のうち、約8割が日本に輸出されている。パッケージ商品化されて輸出されるものには「日本の商社から『沖縄の塩を使うように』と指定があります。沖縄の塩は甘みがあって人気です」(陳さん)という。

 台湾で生産された枝豆を、沖縄からの塩を使って加工し、日本に出荷するという「塩だけ逆輸入」と言える形だ。

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