地域とともに生きる 北海道出身の島パーラー店長
- 2021/5/17
- 社会
琉球の創世神アマミキヨが祀られているうるま市浜比嘉島。そこにあるコンテナショップ「島パーラー浜比嘉店」は、島民のコミュニケーションの場であり、訪れた人たちの憩いの場でもある。
ここは、うるま市の地域おこし協力隊だった向井裕美さん(38)が2年ほど前に造り上げたお店だ。昨年から続くコロナ禍で、さぞ営業も大変かと思いきや、「観光客は激減ですけど、おかげさまで特に困っていないですよ。水曜定休以外は一度も休まず営業できています」。と、ケロっと応えた。窮地に対応できる力はいったいどこにあるのか、話を聴いてみた。
菓子メーカーを退職後に世界周遊
向井さんは北海道名寄市で生まれ育ち、高校卒業後、札幌にあるお菓子メーカーの柳月に就職した。「人見知りが激しく、笑顔で話せない自分を克服したくて」と、販売とマーケティングを担当、そこで9年務めるも30歳前に退職した。「地元では女性は結婚して家にはいるが普通だったので、30前にいろんな事を経験したくて」と、世界周遊チケットを購入、飛行機の移動日だけを決め、一人で3ヶ月間25カ国をバックパッカーでまわった。
準備したことは20ほどの英語の文章と、各国の「こんにちは」「ありがとう」の言葉のみ。「どうしたらここにいけますか?とか、私は何をすればいいですか?という、20くらいの文章を暗記しておくと、だいたいは乗り切れる。それとその国の挨拶は大切。返事がわからなくても、ありがとうと言って、また別の人に聞けばいいので」。ここで人見知りを克服できた柳月での9年間が役に立った。旅のスケジュール、宿泊先も自由だ。
「各国のお土産屋さんにいくとポストカードが売っているでしょ。そこでこの場所いいなと思ったカードを買って、どうやったらここに行ける?って聞いて出かける。近くまできて目的地がわからなくてもカメラを持って歩いて行く人について行けば、だいたい到着できるんだよね」。なるほど、マーケティング経験がここでも生きた。