初戦、台湾で“14.6万回”再生 キングス国際試合「沖縄を世界へ」を体現

 
「沖縄を世界へ」をテーマに掲げ、沖縄アリーナで行われた琉球ゴールデンキングス対台北富邦ブレーブス=24日、沖縄アリーナ

 プロバスケットボールBリーグ1部の琉球ゴールデンキングスは23、24の両日、沖縄アリーナに台湾のプロリーグ「Pリーグ」で3連覇中の台北富邦ブレーブスを招き、2023-24シーズンの開幕前最後となるプレシーズンゲームを行った。延長は行わないため、1戦目は79ー79の引き分け。2戦目は81ー73で勝利した。

 今シーズンから新たなテーマに「沖縄を世界へ」を掲げ、世界に通用するクラブを目指すことを宣言しているキングス。ブレーブスとの初戦は、台湾でのみ視聴できる動画サイトのPリーグ公式チャンネルで24日までに14万6千回再生され、早速その目標を体現して見せた。

 関係者によると、Pリーグのプレーオフにおける1試合の再生回数は平均で約20万回。非公式戦でこれほどの再生回数を記録したことは、バスケ熱の高い台湾でも高い関心を集めたことがうかがえる。

白木社長「世界に通じるクラブに」

試合終了後、ファンに挨拶する沖縄バスケットボールの白木享社長

 今回の連戦は、中央に「沖縄を世界へ」という文字を大きく描いた特別仕様のコートで実施した。3階のフードコートではルーロー飯など台湾の料理を販売。この試合のために台湾から来県した観客もいた。

 7025人が観戦した24日の試合後、ブレーブスのシェ・チンチャHCは「これまで国際大会でいろいろなアリーナでプレーしてきましたが、日本はとても素晴らしいアリーナをつくっている」と語り、沖縄アリーナの雰囲気を高く評価。キングスの桶谷大HCは他国のチームとの試合について「こういう交流があると、バスケを一つのコンテンツにしてお互いの文化を知る機会になる。世界のチームと対戦して、世界を知ることはとても大切なことだと思います」と満足そうだった。

コート中央に大きく描かれた「沖縄を世界へ」の文字

 昨シーズン初優勝を飾ったキングスは、沖縄アリーナという国内最先端の設備を備えたホームコートの存在を武器に、ホームの来場者数や売上高でもリーグトップクラスの数字を記録した。ただ、他球団も続々と新アリーナを建設、計画しており、競争環境は一層厳しさを増している。そんな中、キングスは「アジアNo.1の球団」やNBAチームを沖縄アリーナに招くことなどを目標に掲げ、新たなステージを見据えて活動の幅を広げている。

 24日の試合後、コート中央でマイクを握った運営会社「沖縄バスケットボール」の白木享社長は「沖縄の輝かしい未来のため、もっと世界に挑戦すべきなんじゃないかということで『沖縄を世界へ』というメッセージを掲げました。『沖縄をもっと元気に』という活動理念を大切にしながら、世界に通じるクラブへと成長していきたいと思いますので、引き続き応援をよろしくお願いします」とファンの後押しを求めた。

交流活発化でアジアの“レベル向上”に期待

台湾の選手(左)とマッチアップする田代直希主将

 アジアでは昨シーズンから日本、フィリピン、韓国、台湾の強豪チームが参加する東アジアスーパーリーグ(EASL)が開始。その影響もあってか、今回のキングスの取り組みだけでなく、千葉ジェッツも9月上旬に韓国の2チームを船橋アリーナに招いてプレシーズンゲームを行うなど、クラブチーム同士の交流が活発化している。

 世界的に見ればアジアはまだまだバスケの後進地域ではあるが、ブレーブスのチンチャHCは「日本やフィリピンなどのチームと対戦することで、各チームに所属する選手たちがいろいろなバスケを経験できる。そこから学び、向上していける部分はあると思います」と語り、交流がアジア全体でのレベル向上につながると見る。

 キングスは今季もBリーグ王者としてEASLに参戦し、ホーム&アウェー形式で戦うため、他国のアリーナでも試合を行う。各国のチームとの対戦を重ね、アジアにおける存在感を高めていきたい。


長嶺 真輝

投稿者記事一覧

ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

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