世界マスターズ室内陸上60mで銀メダル 久米島出身の52歳・譜久里武
- 2023/3/29
- エンタメ・スポーツ
陸上クラブ「アスリート工房」の代表で、男子100mで日本選手権にも出場歴のある譜久里武(52)=久米島高校ー沖縄大学出身=が29日、ポーランド・トルン市で開かれた世界マスターズ室内陸上競技選手権のM50クラス(50~54歳)60m決勝に出走し、7秒29で2位に入り銀メダルを獲得した。1位との差はわずか0.03秒だった。
アジア人として初めて40代で100mを10秒台で走った選手として知られる譜久里。2017年には世界マスターズ室内陸上M45クラス(45~49歳)60mで金メダルを獲得し、18年にはタレントの武井壮さんや元100m日本記録保持者の朝原宣治さんらと世界マスターズ陸上M45クラス400mリレーで再び世界一に輝いている。
後半加速もわずかに届かず
5年ぶりに世界マスターズ室内陸上個人種目への出場となった譜久里は今大会、27日に予選を走り、7人が出走した6組を7秒43で1位通過。全体では2位のタイムだった。翌28日には準決勝2組を再び1位の7秒35で駆け、今度は全体でもトップのタイムで決勝に駒を進めた。
優勝候補の一人として迎えた最終決戦は6レーンに着き、7人で世界一を競った。スタート直後こそ出遅れるが、185cmの高身長で大きいストライドを武器とする譜久里はぐんぐんと加速し、順位を上げていく。
しかし、隣り5レーンのMACK Jeffery(アメリカ)も伸び、優勝争いは中盤からこの2人に絞られた。最後は胸をぐっと突き出してJefferyに迫ったが、紙一重の差で2位。目標の世界一にはあと一歩届かなかった。
チームで挑戦「価値のある挑戦でした」
40代では世界の舞台で多くの結果を残したが、近年はスランプに陥っていたという。今大会に向けては理学療法士やメンタルトレーナー、動作解析、栄養指導、通訳などのスペシャリストが集った「TEAM譜久里」を結成し、大一番に向けて準備を重ねてきた。
決勝終了後、メッセージアプリで取材に応じた譜久里は「再び世界一を目指して頑張ってきましたが、わずかに足らずでした」と悔しさを滲ませながらも、チームのメンバーなど多くの人に支えられてきたことを念頭に「色々な方々がサポート、応援してくれたので、僕にとって凄く価値のある挑戦でした。おかげで、記録や走りも良くなってきて、復調の兆しを感じられる中で挑めました」と充実感ものぞかせた。
普段は自身が経営するアスリート工房で子どもたちと接する機会も多い。「銀メダルを獲得し、沖縄の子どもたちにお土産を持ち帰れることは嬉しいです」と喜びのコメントも記した。
自身のSNSには、表彰式の写真と応援してくれた人たちへの感謝のコメントと共に、「次への布石」とも書いた譜久里。52歳、自称「世界を駆けるおっさんスピードマスター」の挑戦は、まだまだ終わりそうにない。