ミャンマー出身のミテさん受け入れ 沖縄の日本語学校「ICLC」が学費負担
- 2023/3/15
- 社会
那覇市田原にある国際言語文化センター附属日本語学校(ICLC)が、ミャンマー出身の女子学生ミテさん(21)の学費を全額負担し、学びの場を提供している。ミテさんは、国際医療NGOのジャパンハート(東京都)がミャンマーで運営する養育施設Dream Trainの学生。沖縄在住のジャパンハート支援者の提案がきっかけとなり、今回の受け入れにつながった。
ICLCではこれまでもミャンマー人の所属実績はあるが、ジャパンハートを通じてミャンマーから学生を受け入れるのは初めてとなる。
語学力、目標踏まえて選出
Dream Trainは貧困などの理由で人身売買のリスクがある子どもたちやHIV孤児を受け入れている里親制度の養育施設で、小学生から大学生(5~22歳)までを受け入れている。今回の留学に当たっては、ジャパンハートが語学力や将来の目標などを踏まえて検討した結果、ミテさんが選出された。
ICLCが負担した学費のほか、沖縄在住のジャパンハート支援者が留学にかかる渡航費、滞在費、手続き費用なども負担したという。
夢は「日本でプログラマーに」
ミテさんはミャンマー東部のシャン州出身。少数民族であるアカ族の両親の下、8人きょうだいの3番目として生まれた。家は米などをつくる農家で経済的に貧しかったが、学習意欲が高かったため、2010年にDream Trainに入所した。
Dream Trainには日本人のボランティアが多く、「彼らと話がしたかった」という理由で日本に興味を持ち始めたというミテさん。施設にいた頃に日本語の勉強を始め、「もっと学びたい」という一心で留学を決意した。今年の1月9日に初めて沖縄の地を踏み、翌日に入学。短期一般コースに入り、日本語検定2級合格を目指して3月末までの3カ月間、ICLCで勉強を積む。
学校の雰囲気は「先生がよく説明をしてくれるので、どんどん質問ができてとてもおもしろいです。時々授業が終わった後にクラスメートとご飯を食べに行くこともあります。いろんな国の人と日本語で話をしたり、いろんな文化を知ることもとてもおもしろいです」と話し、充実した日々を送っているようだ。ジャパンハートや支援者、ICLCに対しては「日本に来る前からとてもお世話になっていて、とても感謝しています」と笑顔で話した。
将来の夢は日本でプログラマーとして働くこと。「日本で仕事がしたいので、もっと日本語が上手になりたいです。父と母も歳をとってきたし、きょうだいを養うためにはお金も足りない。働いて家族の支援もしたいですね」と意欲的に語った。
ICLC受け入れ継続に前向き 後輩の希望
ICLCはこれまでも社会貢献活動としてシリアやウクライナなどから無償で学生を受け入れ、支援をしてきた実績があったため、今回のミテさんの短期留学についても、受入校として白羽の矢が立ったという。
金城寛武事務局長は「ミャンマーがこういった明るいトピックで取り上げられることはいいことだと感じます。同じような形であれば、私たちも今後も受け入れができるのではないかと思っています」と前向きに話す。
ミテさんに対しては「いい機会を得られたと思いますので、沖縄で見聞きしたことを自分の将来の選択にしっかりと生かしてほしいです」とエールを送る。その上で「語学力の向上や就職など、彼女がいい成果を出せれば、養育施設の後輩にとっても、このような短期留学が一つの目標・希望になるのではないでしょうか。いい流れが生み出せたらいいなと考えています」と期待感を示した。