2月景況「持ち直している」5カ月連続で判断維持 日銀那覇支店
- 2023/2/11
- 経済
日本銀行那覇支店(飯島浩太支店長)は10日、2023年2月の県内金融経済概況(主要指数12月)を発表し、県内景気について「持ち直している」とし、5カ月連続で判断を維持した。同支店では、資源高の影響を受けつつも、観光客や県民の外出機会の増加を背景に、観光や消費の需要回復が続いていると分析した。個別項目の判断もすべて据え置いた。
項目別では、個人消費が「緩やかに増加している」、観光は「持ち直している」、雇用・所得は「改善の動きが続いている」などとした。先行きも「持ち直しが続くとみられる」との判断を維持した。
飯島支店長は、物価上昇による消費への影響について、「消費者の節約志向の強まりなどから、低価格商品の売り上げが増えているという声は聞こえているが、全体としては、物価上昇にもかかわらず、個人消費の緩やかな増加が続いている」と説明した。
その理由としては、行動制限下で積み上がってきた貯蓄にも支えられた「ペントアップ需要」の顕在化を挙げた。
個人消費は、12月の百貨店・スーパー販売額(全店舗)が前年比8.7%増加した。背景には、食料品を中心に幅広い品目で購入単価が上昇したほか、販売個数も底堅く推移していることがあるという。
観光では、昨年12月の入域観光数が同49.9%増加し、新型コロナ以前の19年比でマイナス幅を縮小した。また、主要ホテル客室稼働率は全国旅行支援の効果などで65.2%となり、コロナ禍以降で初めて19年の水準を上回った。8日までに報告があった23年1月の主要ホテル客室稼働率は、速報値で55.1%。
消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年比3.4%上昇し、引き続き3%台半ばで推移している。
飯島支店長は先行きについて「当面、ペントアップ需要を主因に個人消費の緩やかな増加は続くと見込んでいる」と述べた一方で、「資源価格の上昇が経済、物価に与える影響について注視する必要がある」と強調した。
ペントアップ需要については、米国で21年ごろから2年弱続いたという事例を挙げ、「今年半ばくらいまでは少なくとも続くのではないか」との認識を示した。
また、日本銀行が示している、今年の半ばにかけてインフレ率が2%をいったん下回るという最新の見通しにも触れた。その上で、今後、物価の上昇が収まり、賃金が伸びて実質賃金がプラス方向に転嫁するタイミングで、ペントアップ需要から実質賃金の上昇による個人消費の増加にバトンタッチしていけるという日本銀行の基本シナリオについても説明した。
(記事・写真・図 宮古毎日新聞)