沖縄の言葉で語りを楽しむ しまくとぅば県民大会

 

 朝の連続テレビ小説「ちむどんどん」が放送され、沖縄の言葉が全国的にも少しずつ広がりをみせている。しかし、「しまくとぅば」の現状は沖縄県民ですら「聞いてもわからない」「簡単な挨拶しかしゃべれない」という若者たちが多い。沖縄県では9月18日を「しまくとぅばの日」に制定するなど普及を進める取り組み行っており、沖縄の言葉で語りを楽しむことを目的とした「語やびら地区大会」の那覇南部地区大会が糸満市で開かれた。

たくさんの野菜の名前を表現

 11組の出場者は小学2年生から60代までと幅広く、題材は身近な話題、本を抜粋したもの、地域の文化行事までバラエティー豊か。5分の短い時間内で小道具まで取り入れて演じた組もあった。

 最年少で本戦出場が決まった豊見城市立座安小学2年生の吉田涼音さんは、たくさんの野菜の名前をしまくとぅばで表現した。母親の吉田咲さん(34)は「1年生の夏休に豊見城市の方言学校に参加して、その思い出としてこの大会に出場したんです。でも本戦出場にはならなかったのが相当悔しかったみたいで。今回はリベンジですね」と教えてくれた。涼音さんは「いっぱい練習したので嬉しい」と満面の笑顔だった。

野菜の名前をしまくとぅばで紹介した吉田涼音さん

「龍神マブヤー」で使われていた言葉から

 同じく本戦に出場が決まった浦崎直生さん(那覇市立城岳小4)と中川信子さん(65)のペアは、同じうちなーぐち講座の受講生であり、中川さんから55才年下の浦崎さんへ「一緒に大会に出場したい」とアプローチしたそうだ。

 舞台にお墓と御三味(ウサンミ)料理を供えた小道具を置き、「ぬちぬバトン」(命のバトン)を披露した。中川さんは「あなたの命は一人のものではない。ご先祖様がいて繋がった命。大切にしないといけないよ、という話。(浦崎)直生くんと一緒に練習してすごく楽しかった」と笑顔満開だ。

 一緒に演じた浦崎直生さんは、4才の時にテレビで見た「龍神マブヤー」で使われていた「メーゴーサー」という言葉の意味を知りたいことから、しまくとぅばに興味を持った。

 「コロナで一緒に練習できたのは3回。面白くするためにどんどんアドリブを足していったから大変だった。みんなにわかるように、たくさん話せるようになりたい。みんなにもっと関心をもってもらいたいなぁ」。そう願いを込めた。

「命のバトン」を題材に浦崎直生さんと中川信子さんが演じる

 審査委員長の神谷清一さんはこう話す。
 「地域の行事を大切にして、子どもなりによく頑張って勉強している。コロナ禍でおじぃおばぁとの付き合いもなかなか出来なくなっているが、とても素直で頼もしい。ぬちぬバトンは、拝みあり、重箱ありで沖縄のしきたりをしっかり表現していた」

 年2回開催される「しまくとぅば県民大会」は、9月18日の第1部に続き、来年1月21日に西原町さわふじ未来ホールで第2部を開催し、地区大会を突破した17組の演目も披露される予定だ。


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