総支配人も現場に… 沖縄ホテルで人手不足が深刻化 需要回復続くも

 
フロントで宿泊客の対応をするかりゆしグループの職員ら=沖縄県恩納村の沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ

 感染者数は依然として収束を見ないが、「ウィズコロナ」の広がりから徐々に国内からの入域客数が回復している沖縄観光。需要のピークとなる夏場の7月以降は、県内主要ホテルの客室稼働率も60%を超えるなど持ち直しの傾向が顕著となっている。一方、コロナ禍で業界から離れた人も多く、人手不足は深刻だ。県内ホテル大手のかりゆし(平良朝敬会長)を取材した。

「やっとお客様が戻ってきた」耐えた2年半

 「朝食対応の仕事をしていたもので、作業着から着替えてて遅くなって申し訳ありません」

 8月中旬、恩納村のリゾートホテル「沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ」。午前10 時ごろ、家族連れや若者客で賑わうロビーで待っていると、椎本泰隆総支配人が慌ただしい様子で現れた。従業員が足りず、自身も連日、朝から現場に立っているという。

 コロナ禍に入ってから「お客様より従業員の方が多いような状態」が2年半にわたって続き、感染が拡大し始めた一昨年の春には一時完全な営業停止にも追い込まれた。それでも今夏は8月に60%台半ばまで稼働率が回復し、「第7波」や週末の台風襲来という押し下げ要因があった9月も現状で50%を超え、需要が持ち直している。

 椎本さんは朝食対応の他、ベッドシーツを剥がすなどの作業も担っているが、宿泊客の笑顔を見ると活力が湧くという。つらい時期を耐え忍び、「本当に、やっと戻ってきたという感じです。人手が足りず仕事は大変ですが、お客様が入らない方がキツいです」と表情を緩める。

従業員数はコロナ禍前の6割程度

沖縄かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパの広々としたロビー

 しかしマンパワーの不足はじわじわと職員の心身を削り、「だんだん現場が疲弊してきている」と本音も漏らす。

 コロナ禍に入る前に比べ、従業員の数は約6割に減少。一部の職員がコロナ禍でも仕事のある別業界に転職したほか、多く雇っていた外国人従業員も母国に戻ってしまったという。「募集を掛けても全然応募が来ないんですよ」と頭を抱える。県外からの季節限定のリゾートバイト職員を集め、なんとか凌いでいる状況だという。

 不足している業種はベッドメイキングやレストランの洗い場など多岐にわたる。さらに現在は客室の清掃時に毎回消毒をしたり、館内の入り口に消毒、検温をするスタッフを配置したりする必要があるため、コロナ禍以前に比べて必要な仕事も増えている。自身も含め、営業の職員らも空いた時間にベッドシーツを剥がして運搬するなどフル回転している状態だ。

 コロナのPCR検査で陽性判定が出た職員は休まざるを得ず、サービスの質を保つ観点から「職員でクラスターが出たらアウト」(椎本さん)という。9月に入ってから外国人労働者の受け入れが一部再開し、清掃スタッフなどとして従事しているが、やりくりは「非常に苦しい」と厳しい状況に変化はない。

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