FC琉球、J2残留に向け崖っぷちに 5試合連続無得点で痛いホーム敗戦
- 2022/9/19
- エンタメ・スポーツ
サッカーJ2のFC琉球が、いよいよ崖っぷちに追い込まれた。
琉球は9月18日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアムで17位のレノファ山口FCと今季第37戦を行い、0-1(前半0-0、後半0-1)で敗れた。無得点は5試合連続。通算成績を6勝19敗12分となり、勝ち点は30。順位は最下位22位のまま。J2に残留する最低順位である20位のザスパクサツ群馬はこの日勝利したため、勝ち点差は6に広がった。今季の残り試合数は5試合。残留への道のりは、厳しさを一層増している。
以下は下位4チームの成績。太字はJ3降格圏。19日現在。
19位 大宮アルディージャ 9勝16敗11分 勝ち点38
20位 ザスパクサツ群馬 9勝19敗9分 勝ち点36
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21位 いわてグルージャ盛岡 9勝21敗6分 勝ち点33
22位 FC琉球 6勝19敗12分 勝ち点30
終盤に攻勢も 最後まで押し込めず
序盤からボール支配率では相手に劣ったが、長身FWサダム・スレイを狙ってクロスを上げ続け、ゴールを狙う琉球。しかし山口にスレイを徹底マークされ、なかなか決定機をつくれない。スコアレスのまま前半を折り返すと、後半29分にショートコーナーからのグラウンダーのクロスに合わされて先制を許した。
状況を打開するため、後半中盤からMF清武功暉やDF沼田圭悟、FW上原慎也らを相次いで投入すると攻勢に転じる。「圭悟が左サイドから入れてくれるという共通理解がある中で、押し込めるんじゃないかと」(上原)と、前線の選手が積極的に相手ディフェンスの裏を狙い、何度もゴールに迫った。しかし、最後までネットを揺らせず試合終了の笛が響いた。
クロス多用で攻め単調に
6月にナチョ・フェルナンデス監督が就任して以降、攻守で改善し、一時成績が上向いた琉球。特に身長191センチという高さと体の強さを備えるスレイの加入は大きく、シンプルにクロスを上げて好機をつくるスタイルが定着した。しかし、ここにきて攻撃が単調になっている感は否めない。
高いヘディングを武器に好機をつくる起点となるスレイが相手の徹底マークを受け、いい形で味方にボールを流せる場面が減っているが、それでもクロスを多用。相手ゴールに迫る場面はあるが、守備網を崩してのシュートではなく、混雑の中で押し込もうとするためシュートコースがほぼ空いていない状況が散見される。さらに第33戦の水戸ホーリーホック戦で、それまで前線でボールを落ち着かせていたFW阿部拓馬が左アキレス腱断裂の大怪我を負って離脱し、単調な攻めに変化を付けられる選手が減ってしまった。
試合後の沼田の言葉が、今のチーム課題を端的に表している。
「監督がノーリスクという事をよく言っていますが、それを意識し過ぎて攻撃の形が無くなったりしています。(阿部)拓馬さんがいた時は無理矢理ボールを収めて攻撃の形をつくっていましたが、今はもういないので、残るメンバーで形をつくっていかないといけない。相手が構えている所にどんどんクロスを上げても難しい部分はあるので、判断の精度を上げないといけないという課題は感じています」
クロスを主体にしながらも、状況によってはパスで相手ディフェンスを左右に揺さぶったり、グラウンダーで中央にボールを入れたりするなど、変化を付けながら攻撃を展開していきたいところだ。
「覚悟と責任を持って闘え」
残り5試合では2位の横浜FCや6位の大分トリニータなど上位陣とのカードもあり、残留争いで一歩後退したと言わざるを得ないが、それでもまだ可能性はある。望みを繋ぐためにも、9月25日にアウェーで行う次戦の18位栃木SC戦は絶対に落とせない一戦となる。
「セットプレーで失点していることが敗因。1対1の弱さも見せ付けられた」と課題を見詰めるフェルナンデス監督も「諦めることはしない。次の栃木戦に勝つことを考えています」と前を向く。
土俵際に追い込まれた状況の中、選手たちの気持ちのこもったプレーが勝利に向けた最低条件となる。試合中、琉球の応援団席に掲げられた横断幕には、選手を鼓舞する力強い言葉が手書きでつづられていた。
「琉球の選手として覚悟と責任を持って最後まで闘え」
このメッセージを選手一人一人が胸に宿し、残り試合に挑みたい。