「国との架け橋になる」 岡田沖縄相、知事と初面談
- 2022/9/15
- 政治
岡田直樹沖縄担当相が14日、就任後初めて沖縄を訪問し、県庁で玉城デニー知事と面談した。岡田担当相は「私の役割は、県と政府との架け橋、つなぎ役になること」と意気込みを語った。一方、玉城知事は2023年度の離島振興を含む沖縄振興予算の確保のほか、中国との関係改善を図ることや辺野古移設計画の断念を求める要望書を手交した。
玉城知事は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設について、県民の民意は過去の選挙や県民投票の結果から「明確に反対が示されている」と訴えた。さらに、沖縄の過重な基地負担のさらなる解消を求め、普天間飛行場の一日も早い危険性除去と、早期の閉鎖・返還を申し入れた。
要望書では、尖閣諸島周辺の領海・排他的経済水域における安全確保や、さらなる海上保安体制の強化など適切な措置を講じること、平和的な外交(対話)によって、中国との関係改善を図ることも要望した。
岡田担当相は「まずは内容をよく精査、検討したい。しっかりと担当省庁に伝えて、必要に応じて、関係大臣に申し上げたい」と述べた。
また、「今後、知事や市町村などの考えも聞きながら、沖縄の発展のために全力で取り組んでいく」と強調したほか、予算編成における沖縄担当相の役割について「沖縄県と政府との架け橋、つなぎ役になること」との考えを示した。その上で「必要に応じて、財政当局としっかり折衝する覚悟を決めて頑張る」との決意を示した。
経済界「国の強力な後押しが必要」
岡田担当相は、経済団体との会合にも参加。経済界を代表して、沖縄県商工会議所連合会の石嶺伝一郎会長は「沖縄振興策のおかげで社会資本が充実し、県民の生活レベルも一定程度、向上している。しかし、1人当たり県民所得は全国最下位で、雇用の質や中小・小規模事業者の生産性の低さ、子どもの貧困など、解決すべき課題が多くある。それぞれが複合的にからまっており、解決には多大なエネルギーと時間、丁寧さが必要だ。新たな振興策の中でさまざまな取り組みがされているが、引き続きご支援をお願いたい」と述べた。
また、石嶺会長は「コロナで疲弊している、あらゆる産業の立て直しが急務だが、同時に、国際競争力という面での空港・港湾の機能強化、OIST(沖縄科学技術大学院大学)などとの連携による新産業の創出、中小・小規模事業者のデジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性の向上も強力に進めなければならい。経済界もしっかり取り組んでいくが、ここはどうしても、国の強力な後押しが必要だ」とも強調した。
会合に参加した沖縄県農業協同組合中央会の普天間朝重会長は、終了後に記者団に対し、「肥料や餌の高騰により収入が減って離農を考え始めている農家もいる。予算を減額している場合ではなく、危機を突破しないことには始まらないことを申し上げた。大臣からは、石川県出身ということもあり、第一次産業をきちっと支えていかなければならないという、力強い言葉をいただいた」と語った。
各地域代表とも会談
岡田担当相は、沖縄県内の各地域代表とも会談し「新型コロナ感染拡大防止を徹底しながら、経済社会活動を取り戻し活性化させるかが沖縄の大きな課題。全力を挙げて沖縄の振興発展に努めたい」と述べた。
出席者によると、岡田担当相は「鉄軌道の話に始まって、地域の道路事情問題、予算確保の問題、各市町村からの要望などについて、しっかり取り組みたい」と強調したほか、「地元からの盛り上がりを力にしながら、12月の予算折衝には頑張っていきたいので、市町村の皆さんの後押しをお願いしたい」とも語ったという。
(記事・写真 宮古毎日新聞)