【那覇市長選】知念、翁長両氏の対決か 顔ぶれ固まる
- 2022/8/21
- 政治
混沌としていた那覇市長選(10月16日告示、23日投開票)の候補者選考が大詰めを迎え、対決構図がようやく固まりつつある。
最大の焦点だった知念覚副市長(58)が自民側から出馬する意向を固め、城間幹子市長(71)に辞表を提出。この動きを受けて、オール沖縄勢力は城間氏の後継として翁長雄治県議(35)を擁立する方向で最終調整に入った。双方とも、沖縄県知事選が告示される8月25日をタイムリミットに決定を急ぐ。
選考委の多数が知念氏推し
市長選は、現職でオール沖縄が支える城間市長が5月に不出馬を表明したことで候補者選考の動きがせわしくなり始めた。自民、オール沖縄の双方が副市長の知念氏を自陣から擁立しようと画策。互いに「相乗り候補にはしない」との思惑は一致し、秋波を送る知念氏の対応が焦点だった。明言を避けてきた知念氏は8月17日に辞表を提出。知念氏が選んだのは、自民側だった。
8月20日に那覇市内で開かれた自民の候補者選考委では、知念氏とともに名前が挙がる新垣淑豊県議(47)、西銘啓史郎県議(64)、上里直司市議(49)の計4人が10分ずつ出馬への意欲や政策を語った。
関係者によると、委員の多数は市職員時代からの豊富な行政経験がある知念氏を推す考えでまとまっている。ただ、知念氏の名護市辺野古の基地移設問題に対する主張が明確でないこと、9月11日投開票の沖縄県知事選との相乗効果を図る「セット売り」で臨む姿勢があいまいなことから、反対する委員も一部いた。
市長選ではこれまで名護市辺野古の移設問題へのスタンスも問われてきた。20日の選考委では、委員からは「自民としてもちろん辺野古容認だが、市長選の争点としての賛成反対からは脱却すべき」「早急に候補者を決定して知事選と一緒に体制づくりを」などとの声があったという。
父の側近との対決に
一方のオール沖縄勢力。市長候補として知念氏の名前が挙がるも、氏の自民への接近ぶりには疑念もくすぶり続けてきた。知念氏は那覇市職員として、故翁長雄志前知事が市長時代に秘書として仕えたこともある。現在は副市長として翁長氏が作り上げたオール沖縄を支える立場にあるが、近年は「かつてのオール沖縄とはもう違う」との不満をこぼすようになっていた。
自民側に回った知念氏の決断を受けて、オール沖縄勢力は翁長氏の息子の雄治氏を擁立する方向で準備に入った。関係者によると、雄治氏は以前から、仮に知念氏が自民から出馬する展開になれば、対抗馬として自身が知念氏と対決することもやむを得なくなるとの見通しを周囲に語っていたという。
雄治氏は2017年の那覇市議選で初当選し、20年に県議に転じた。雄志氏の時代から選挙は無敗で、知名度は折り紙付きだ。ただオール沖縄の勢力内には、世襲となることや35歳という若さから「市長選出馬は時期尚早」と受け止める関係者もいる。市議会には城間市長と距離を置くようになった会派もあり、意見をまとめられるか不透明な要素もある。
自民、オール沖縄ともに擁立決定の環境整備はまだ万全ではない。知事選告示が近づく中、急ぎ足での詰めの調整次第では市長選にしこりを残す可能性をはらんでいる。