立候補予定者が辺野古問題で論戦 沖縄県知事選JC公開討論会
- 2022/8/15
- 政治
8月25日告示、9月11日投開票の沖縄県知事選挙を前に、公益社団法人日本青年会議所沖縄ブロック協議会が8月14日、立候補予定者5人を招いて開かれた公開討論会。現職の玉城デニー氏=立民、れいわ、社民、社大推薦=、前宜野湾市長の佐喜眞淳氏=自民、公明推薦=、元郵政民営化担当相の下地幹郎氏、屋辰夫氏、山口節生氏が登壇し、JCが事前に有権者アンケートを実施して決めたテーマについてそれぞれの候補予定者が主張を述べた。予定候補者同士で政策について互いに質問するクロストークでは、辺野古問題が話題の中心となった。玉城氏、佐喜眞氏、下地氏を中心に、討論会の一部を紹介する。
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なお、発言順や席順は開会前に事前に行ったくじ引きによって決められた。討論会の様子は日本青年会議所沖縄ブロック協議会のYouTubeチャンネルで同日生配信された。
沖縄振興計画の今後の取り組みについて
―「新沖縄21世紀ビジョン基本計画」が令和4年から施策展開の基本的指針として公開されました。沖縄振興計画の今後の取り組みについて、考えを聞かせてください。
下地氏「2次、3次、4次、この30年に渡って、沖縄振興開発計画は目標を達成できていません。また、所得についても同様で、220万円以下の状況です。しかし、今回の計画は国が作りましたが、全く今までの問題点を洗い出すことなく、ただ単に全てを延長した。この姿を見ていると、私は振興計画はこの10年でもう終わらせる。国に頼って沖縄の経済の未来を語ることは無理だなということを考えています。その意味で国との関係を見直し、国に頼る沖縄経済から、全てを沖縄で行えるような体制づくりをしていきたい。
特に大事なことは、沖縄の企業が沖縄の仕事をすること。今“ザル経済”になっている状況を見直す。知事が持ってる権限による規制緩和、そしてPFIによる社会醸成、県内企業がその役割を果たす。この3つをやってくことで沖縄は大きく変わってくる。観光を中心にしながら好循環を作り、そして鉄軌道は何が何でもやらなければいけない。そして石炭が8割の沖縄電力を水素、バイオにかえて日本一安い電力料金体系を作る。私が知事になったら4年以内にこの全てに着手しようと思っています」
佐喜眞氏「沖縄振興計画は今年5月に第6次計画がとりまとめられました。しかしながら抽象的な概念ばっかりが並び、核となる大型事業も打ち出せておらず、非常に内容の薄いものだと言わざるを得ないと思います。このような計画になったのは、県のトップに将来の沖縄をどのようにしたいのかというビジョンやリーダーシップが欠如していると言わざるを得ないと思います。それに加えて年々振興予算が減り続けているため、大胆な施策を打ち出せていないという問題も背景にあると考えます。基地問題でイデオロギーを優先するあまり、県民の暮らしをないがしろにしていると言っても過言ではありません。いわば、県民が県政の被害者になっていると考えています。
私はまず今後の新しい沖縄のために、政府との関係を対立から対話へ、正常なものに回復させ、言うべきことはしっかりと主張しながら、沖縄振興予算を仲井真県政時代の3500億円以上に戻していきたい。コロナで沖縄の経済は大きくダメージを受けていますから、裁量度の高いソフト交付金を増額させ、市町村とも連携しながら経済の再生を最優先で取り組んでいきたい」
玉城氏「沖縄振興計画については、1972年の本土復帰以来、5次にわたる特別措置法と振興計画によって、ダム、道路などの社会資本整備は進んでいますが、け県民所得は全国最下位の水準にとどまり、自立型経済の構築は未だ道半ばだと言わざるを得ません。本年度から第6次計画がスタートしています。この計画に基づいて、アイデアのダイナミズムを取り込んだ観光関連産業のさらなる発展、SDGs、デジタルトランスフォーメーション、リゾテック、5Gなどの推進によって離島県のハンディを克服する取り組みを強化し、教育、医療の充実や新時代沖縄としてのさらに先への展開を図っていきたいと考えています。
主なものでは、東海岸MICE施設については重要政策の1つとして必ず着工させる方向性で民間と調整しています。鉄軌道整備については、全国新幹線鉄道整備網を参考とした整備方式の検討が沖縄振興基本法に盛り込まれていて、今後事業化に向けた取り組みを前進させていきます。米軍基地の跡地利用は重要な課題です。基地を返還してこそ経済が発展するのは、既に新都心地区やハンビー地区でも実証されています。沖縄経済の最大の阻害要因である基地の返還、基地で働いている従業員の皆さんの雇用転換も着実に進め、基地から街づくりへと、経済の発展となる基盤を整備していきたいと思います」