9月に投票日を迎える沖縄県知事選挙まで2か月を切り、各陣営の運動が活発化してきた。過去の知事選では例外なく沖縄の基地問題が主要な争点とされてきた。近年では普天間飛行場移設問題への賛否が選挙の一丁目一番地であり、基地か経済進行かの択一が候補の当落を左右してきた。
今回の選挙はコロナ禍によるかつて世界が経験したことのない社会情勢のなか、沖縄の未来を託すという重要な要素が加わった。経済を建て直し、県民の健康を守り、生活を安定させる施策の実行が県政に求められている。基地問題の重要度は後退したと一般に言われている。
それでも、各候補は普天間飛行場移設問題についての姿勢が選挙の使命を制する要素と位置づけて取り組み、県内メディアもこの視点を大きく伝えている。ここで現県政の基地問題への取り組みと、立候補予定者の問題への姿勢を比較検証することは有意義だろう。
玉城県政を検証するシリーズの第2回目は、基地問題に対する成果を見てみたい。
オール沖縄による辺野古反対
故翁長前知事が「普天間飛行場への辺野古地崎への移設」に反対し、仲井眞知事が承認した埋立への撤回を公約とし知事選に勝利したのは、2015年のことだ。翁長知事の下にオール沖縄と称する、革新各党派に保守の一部が参加した組織が誕生、市民運動と行政が一体となって政府に対し辺野古移設反対の運動を展開した。
地方自治体の長としての権力を得た翁長氏は、政府に移設計画の撤回を求めたが、政府は応じない。そこで県の持つ許認可権限を活用し、承認の取り消しを行った(2015年11月)。
国は直ちに裁判に訴えることをせず、取消の効力を国交省の権限で停止した。国地方係争処理委員会判断の是非や県に海の財産管理権があるかを争う訴訟等を経て、最終的に埋立承認は有効であるとの最高裁の判断が示されたのは2016年12月のことだ(工事差し止め訴訟)。
その後も県は、工事に付随する岩礁破砕の適法性について、国が私人の立場で行政不服審査法を利用したことは違法であるとする「関与取消訴訟」、撤回を取り消した国の決定を違法として国交省を訴えた「抗告訴訟」などを提起したが全て敗訴した。