第三の候補者下地幹郎氏は辺野古移設を容認した上で、議論となっている移設先北側、軟弱地盤が存在する区域の工事は認めないと主張している。県内政局で一定の地位を築いてきた下地氏は普天間飛行場の移設問題について、政府ともリベラルとも異なる姿勢をとり続けた。
1990年代、移設先が議論された時代、下地氏は普天間飛行場の嘉手納統合案を主張して政府案に反対し、地元説明会では移設推進派・反対派両方から非難を浴びた事がある。その後は2013年に辺野古移設推進の政策協定を大阪維新の会と締結するなど、おおむね辺野古容認の姿勢をとり続けている。
今回の政策発表では普天間行場代替施設の軍民共用化を掲げ、辺野古については「軟弱地盤は埋め立てさせない」と改めて強調した。条件付き容認は政府の方針とも反対派の主張とも異なる。
米国との直接交渉を訴えるも
下地氏が知事選への出馬表明をワシントンDCからネットを通じて行い、基地問題の解決には米国との直接交渉が必要と訴えた。そのために県に外交部を設置すべきとも主張している。しかし、仲井眞県政時代に基地問題担当として何度も訪米した又吉進元知事公室長は、「米側に県の政策を理解させるには相当の努力が必要」と指摘する。
「単に高官に面談して沖縄の主張を叫ぶだけでは実のある回答は返ってきません。沖縄の歴史や県民感情、そして基地が返還される効果などを具体的に示し、沖縄の負担を最小限にする。その考えのもとに移設計画を見直す。このような説明を政府組織に時間をかけて丁寧にしていく他に方策はありません」
これまでの知事訪米や沖縄県のワシントン事務所設置の成果について、「その意味で見るべきものはありません」と批判的だ。
基地問題について今回の知事選に立候補を予定する3人は、三者三様の姿勢だ。容認、反対、あるいはその中間か。過去の知事選にはなかったほど、対立軸は明確になった。