- Home
- 暮らし・教育・子育て
- 国内唯一の障がい者アートデジタル配信、県出身女性ら立ち上げ
国内唯一の障がい者アートデジタル配信、県出身女性ら立ち上げ
- 2022/7/26
- 暮らし・教育・子育て
株式会社ウィンドベル(東京都)が国内唯一の“障がい者アート配信サービス”である「ParaCanvas」をこの4月から展開している。取り組んでいるのは同社の常住和弘代表と、沖縄県那覇市出身の潮平寿賀子さんの2人だ。障がい者アーティストの作品をデジタルキャンバスに配信して映し出すサービスを定額で展開。作品発表の場を生み出し、収益を還元することで、アーティスト自身のモチベーション向上に寄与すると共に、人々の暮らしにアートの彩りを添えている。
デジタルキャンバス上にアート続々
ParaCanvasでは、利用者に貸し出したデジタルキャンバス上に、一般社団法人障がい者アート協会が運営するギャラリーサイト「アートの輪」に登録する約1000人、約3万点の絵画作品のうち、10作品を30秒ずつ次々と映し出している。ウィンドベルが選定した展示作品が1カ月に一度のペースで入れ替わり、年間を通して120作品が楽しめる。自宅やオフィスだけでなく、ホテルのロビーや病院の待合室などでの利用も想定しており、ふとした日常の1コマにアートを楽しむことができる。
障がい者アーティストの経済的自立にも寄与
この定額配信サービスから得た利益は、障がい者アート協会を通して「アートの輪」に登録するアーティストに均等分配される仕組みで、「全ての障がい者アーティストに社会参加を意識してもらい、創作意欲や生きがいにつなげる」という思いが込められている。
常住代表は「今後、ParaCanvasの利用台数が1,000台、10,000台と増えていくことで、毎月安定的に大きな金額が障がい者アート協会に支払われることになります。障がい者アーティストのみなさんが経済的にも自立していけるような仕組みが作れるというのが、最大の魅力だと思います」とその意義を語る。
きっかけはデジタルサイネージの代理店事業
同社は2001年に、アパレルブランドや化粧品ブランドといった店舗のレイアウトやデザイン、装飾などをワンストップで行う会社として立ち上がった。その事業内容に関連する形で、台湾の情報通信機器大手・ウィストロン社のデジタルサイネージ(電子看板)日本正規販売パートナーとしての事業も始めたことが、このParaCanvasのサービス誕生につながった。
デジタルサイネージは一般的に、広告や案内板として使われることが多いが、それをデジタルキャンバスとして作品発表の場とすることに着目した。アート好きな常住代表はかねてから「街中にアートを飾りたい」という思いを抱いていたという。そんな中、障がい者のアーティストたちが描く絵を目にして、それぞれの作品の魅力に取りつかれたのが潮平さんだった。「ParaCanvas絶対いけるからやろうよって。単純にかわいいな、良いなと思って、世に広めていきたいと思いました」。そんな2人の思いが組み合わさった。