沖縄北部テーマパーク事業を支援 地元参加型ファンドで県民を当事者に、SCOM

 
沖縄本島北部のテーマパーク建設予定地となっているオリオン嵐山ゴルフ倶楽部跡地

 ジャパンエンターテイメント(名護市、加藤健史代表、以下、ジャパン社)が2025年前後の開業を目指す沖縄本島北部の新テーマパーク事業について、県民が資本参画できる仕組みが動き出している。

 沖縄県内の中小零細企業を対象としたファンド運営を手掛けるSCOM(エスコン、藤本和之代表)が、沖縄に所縁のある県内外の企業や個人が投資できるファンドを設立し、募った資金をジャパン社に出資する。長期的に沖縄観光に多大なインパクトを与えることが見込まれるテーマパークについて、県民の当事者意識を高めることで、持続可能な事業にしていく狙いだ。SCOMの上間喜壽取締役(上間フードアンドライフ会長)にファンドの設立に至った背景や、その波及効果を聞いた。

予定地は約60ヘクタールのゴルフ場跡地

 テーマパークは名護市と今帰仁村にまたがるオリオン嵐山ゴルフ倶楽部跡地に建設予定。事業面積は約60ヘクタール。既存の施設を活用することで環境への負荷を軽減し、沖縄本島北部の「ヤンバル」の自然を生かした「本能に突き刺さる」テーマパークを目指す。

 事業を推進するのは、大阪のUSJを再建したことで知られる森岡毅氏がCEOを務めるマーケティング会社の刀(大阪市)だ。沖縄の地元企業と共に出資して準備会社のジャパン社を立ち上げ、2020年10月には名護市、今帰仁村とジャパン社の間で包括連携協定を締結した。

 今年3月には、日本格付研究所(JCR)から「雇用機会の創出」「地域経済の活性化」「観光人材の育成」など、SDGs(持続可能な社会)の課題解決につながる事業計画として認定最上位の「Social 1(F)」をテーマパーク事業として初めて取得。また同時期には、刀社と沖縄県が、沖縄が「世界から選ばれる持続可能な観光地」になることを目指し、ブランド強化に関する連携協定も締結した。

事業進捗報告、株主総会など対応

ファンドの役割や効果について説明するSCOMの上間喜壽取締役=7月、浦添市内

 今回、SCOMが設立したファンドの名称は「SCOM沖縄テーマパーク投資事業有限責任組合」。6月上旬にファンドの組成を発表した。SCOMは出資者とジャパン社との折衝、出資者や投資家に対する事業の進捗報告、株主総会などの対応を担う。

 テーマパークを建設する上で、計画地の地元事業者や個人が資本参画できる珍しい仕組みだが、動き出すまでにどのような経緯があったのだろうか。昨年の秋頃、ジャパン社の佐藤大介取締役からファンド設立などの相談を受けたという上間氏が振り返る。

 「このプロジェクトには絶対に沖縄の人が関わるべきで、もっと当事者になってもらいたい、共に沖縄という場所のポテンシャルを引き出していきたいという話をされました。真剣にビジネスをしに沖縄に来て、その経済効果をみんなに行き渡るようにしたいと心から思っていると感じました。小一時間話を聞く中で、心を打たれました」

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