三日攻防の石垣市長選  勝敗の行方は

 

 27日投開票の石垣市長選は24日、選挙戦最終盤の「三日攻防」に入り、届出順に新人で前市議の砥板芳行氏(52)と、4期目を目指す現職の中山義隆氏(54)=自民、公明推薦=が総仕上げに取りかかっている。

 改めて石垣市長選の争点を整理すると、政府が進める陸上自衛隊配備計画やゴルフ場開発、尖閣諸島問題への対応をめぐって両候補の姿勢に違いがあり、有権者の審判が下される。

 このほか、中山氏は新型コロナウイルス対策でワクチン接種を県内の他市町村よりもいち早く進めたことなどを現職の実績として強調している。一方の砥板氏は、昨年11月に落成した市役所新庁舎について、県外産の赤瓦が使われたことや不透明な決定経緯を問題視し、対立軸として批判を強めている。

石垣市役所新庁舎

対照的な支援

 石垣市長選は1月の名護と南城の市長選に続く、選挙イヤーを迎えた2022年沖縄の第2ラウンドとなる。ただ、石垣市長選の両陣営への市外からの支援体制は、1月の2つの市長選とは様相が異なっている。

 現職の中山氏の陣営には、東京から自民党国会議員も相次いで来島し、街頭でマイクを握っている。告示後も今井絵里子参院議員や、党広報本部長の河野太郎衆院議員など知名度のある議員が相次いで応援入りした。新型コロナのオミクロン株の影響もあって東京からの応援入りを控えざるを得なかった1月の2つの市長選とは対照的だ。

 自民とともに推薦を出した公明党も県議らが応援に入っている。政権与党のバックアップを受ける中山氏だが、陣営関係者の一人は告示前後に空席が目立つ集会があったことに触れ「実績は申し分ないが、上滑りや緩みが禁物だ」と話す。

 一方の砥板陣営。政党推薦は依頼せず、国会議員の応援は沖縄選出の議員らに限定。中央政党からの応援入りはない。元石垣市長を父とする市出身の比嘉京子県議(社大党)や、共産党の瀬長美佐雄県議らが市内を周り、支援を呼びかけている。

 1月の2つの市長選と対照的なのは、砥板氏について「十分支援に値する」と語った玉城デニー知事が、石垣入りしていないことだ。特に名護市長選では選挙戦中4度も名護に入っているが、石垣では予定されていないという。ある陣営関係者は「知事が来る効果はもちろんあるが、『選挙の時だけ島に来るのか』との声が出る可能性もある」と明かした。

過去最多の期日前

 告示翌日の21日から始まった期日前投票は、あいにくの悪天候が続く中で過去最多をうかがう勢いで推移する。石垣市選挙管理委員会によると、24日までの4日間で1万323人が期日前投票に足を運び、選挙人名簿登録者数(3万9,330人)の26.25%に当たる有権者が既に票を投じた。これまで最多だった前回2018年の同期間(9,344人)を上回っている。

 石垣市長選の投票率は中山氏が初当選した2010年が77.42%、14年が75.19%、18年が73.55%と概ね2ポイントずつ減少しているものの、7割を超える県内でも高い水準が維持されている。期日前投票の状況から、投票率は今回も70%を上回るとの見立てを両陣営が持っており、14,000~15,000票が勝敗を決するラインとみて、票の上積みに躍起だ。


 過去の選挙結果を振り返ると10年、14年の市長選は中山氏と、革新系の大濱長照氏の一騎打ちで、中山氏の得票は10年が16,421票、14年が15,903票だった。大濱氏は10年11,407票、14年11,881票となっており、4,000~5,000票差の決着となった。

 18年の市長選では保守分裂の三つどもえとなり、中山氏が13,822票、革新系の宮良操氏9,526票、保守系の砂川利勝氏4,872票だった。現職の中山氏、革新陣営がともに票を切り崩される形で砂川氏が得票したことが窺え、一部保守に革新勢力が共闘して候補を擁立した今回の一騎打ちで得票にどう影響するかが注目される。

■関連記事
☆現職4選か市政刷新か 石垣市長選、今月27日投開票(https://hubokinawa.jp/archives/12824
☆日本最南端の市長選・石垣市長選告示 自衛隊配備や市政評価争点(https://hubokinawa.jp/archives/13164


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