【前半】県海外職員が語る沖縄ビジネスの都市別進出優位性と課題
- 2021/12/4
- 経済
11月30日にオンライン開催が幕を閉じた、ITと経済の複合型国際見本市「ResorTech EXPO in Okinawa」。同イベントの一環で、沖縄県海外事務所長・委託駐在員が現地市場の解説などを行うオンラインセミナーが11月18日と19日に開催された。初日は海外事務所長が、2日目は委託駐在員がそれぞれ画面上に登場し、現地をよく知る立場ならではの視点で、海外進出における沖縄企業のメリットや有利点などを説明した。
今回の紹介記事では上下の計2回に分けて掲載し、前半は台北、香港、北京、上海、ソウルの東アジア都市各事務所長の話をお届けする。
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【後半】県海外職員が語る沖縄ビジネスの都市別進出優位性と課題 | HUB沖縄
沖縄県の海外事務所とは?
沖縄県は、台北、上海、北京、香港、シンガポール、ソウルに海外事務所、福州に駐在所を設置し、タイ、フィリピン、インドネシア、ベトナム、マレーシア、オーストラリア、フランスの各国に委託駐在員を配置している。沖縄への誘客や海外への物産販路拡大など、さまざまな取り組みを行っている。
沖縄は台湾で「観光地として定着」
台北事務所の仲本正尚所長は、台北を「沖縄から一番近い国際都市」として位置づけ、台湾市場はもちろんのこと、台湾を起点とした他の中華圏への市場開拓の可能性も指摘。また「新南向政策」で台湾が東南アジアや南アジア、オーストラリアなどとの連携を強めていることから、海外進出の拠点としての魅力を話した。
台湾には訪日経験がある人も多く、他国に比べても日本食や日本食材、日本語に親しみがあるという。沖縄観光については「観光地として定着していて、旅行に対する意欲は高い」と継続的な需要を見通し、長引くコロナ禍で自由に旅行ができない中「旅行意識の高まっている観光客に、質の高いサービスをどのように提供できるかが重要です」と、コロナ後の誘客についての構えを示した。
また「日本のニュースや情報にあふれていて、特定の分野においては日本人以上に日本のことに詳しい人も多いです」と話し、情報共有が進んでいる現状から「日本で価値の認められたものは受け入れられやすいでしょう」と、ビジネス進出先としての利点も語った。
香港への肉類輸出3倍に
日本の農林水産物輸出先で国・地域別1位が、香港だ。沖縄県産品の輸出先としても1位となっている。特に肉類の輸出は2018年以降で3倍となった。香港事務所の新垣寿所長は「泡盛や塩、黒糖、生鮮品など多くの県産品が量販店や百貨店に流通しており、定番化しています。テレビでの紹介がきっかけでシークワーサーも人気です」と、沖縄県産品が生活と身近なところにある状況を説明する。それ故に「ブランド力強化で差別化をしていくことが大切です」と、県産品が定番化した成熟市場での戦略を語る。
香港では今年からやちむん(沖縄の器)が流通し始めたという。特に、色鮮やかな作品が人気だ。このような文化的側面も絡めながら「新しいもの好き」な香港人のニーズを探る大切さを示唆した。
また、今年の夏にオープンした琉球泡盛バー「AWAAWA」が連日満席であることも報告された。沖縄とオンラインでつないで、香港のバーテンダーを対象とした泡盛講座を開かれていることなども紹介した。