世界中の沖縄県系人が「豚肉で感謝祭」85か所、新文化定着へ
- 2021/11/24
- 社会
第二次世界大戦後、沖縄県が食糧難に直面した際、海外に移住したウチナーンチュ(沖縄人)の支援によって食糧難を乗り越えたことに感謝し、10月30日から11月6日、「世界のウチナーンチュウイーク(感謝祭)」が世界中で実施された。沖縄県の食文化の象徴である「豚肉」でともにお祝いしようと、世界ウチナーンチュ・ビジネス・ネットワーク(WUB)が提唱。立案者の一人で、WUBアジア担当の佐久田トニー副会長(59)は「米国の感謝祭で家族が集い七面鳥を食べるように、ウチナーンチュの日は世界中で豚肉を囲む日にしよう」と呼び掛けた。沖縄県内外、北米、南米など85のレストラン・飲食店が感謝祭を実施した。
戦後復興の歴史に由来
豚肉は沖縄の食文化の象徴だが、その背景には戦後復興の沖縄の歴史と県系人の助け合いの心“ゆいまーる精神”が深く関わっている。
沖縄から海外に戦前移民し、世界各国で暮らしていたウチナーンチュは、第二次世界大戦後、⾷糧難で苦しんでいた母県沖縄県を助けようと手を取り合い、沖縄の⼈々を支援した。そのひとつがハワイの県系人から届いた550頭の豚で、沖縄県民はこれらの豚を繁殖させ、戦後の食糧難を乗り越えた。
米国の感謝祭(11月の第4木曜)の由来は、欧州から米国に移住した開拓者たちが飢餓に直面した際、先住民が分け与えた知恵で食糧難を乗り越えたことに感謝し、七面鳥でともにお祝いしたことだ。それと同様に「世界のウチナーンチュの日(10月30日)には、家族、友人が集まり豚肉を食べる」ことを、沖縄の人々の当たり前の習慣にしたいと考えた。
佐久田副会長は「沖縄の歴史が重なる」と話し、「県人と県系人の絆を語り継ぐ上で重要な役割を果たし、世界中で手に入る食材でもあることから豚肉がふさわしい」と、ウチナーンチュの日にちなんで感謝祭を発案したきっかけを振り返る。
海外県系人社会で広がり 多数の飲食店が参加
「世界のウチナーンチュウィーク(感謝祭)」の取り組みは県系人の多いブラジルやハワイなどで徐々に広がりを見せた。
沖縄に関わりのあるレストランが参加し、海外ではハワイやブラジル、ボリビアの県系レストラン・飲食店が感謝祭を実施した。その他にも、ハワイの歴史を学ぶ講演や豚肉に関する独自のイベントも行われた。