コロナ禍のパラリンピック~車いすマラソン喜納翼の涙と笑顔~

 

 表敬後のインタビューで喜納は、子どもたちからのメッセージを受け取っての感想を語った。
 「これまで県内各地の小学校を回りながら、(障害者スポーツについて)講演をしてきました。そういった活動が、目に見える形で今回のメッセージとして返ってきたと感じました。子どもたちからの応援が何よりもうれしいです。すごく力になりました」

「私も苦しかったんだ」

 さらに喜納は、改めて自分の本心にも気づけたと言葉を重ねた。

「トレーニングを積み重ねてきましたが、やっぱり(開催の賛否で)いろいろな声がありますし、それは分かっているつもりでしたが、オリンピックで県勢選手もたくさん活躍してすごく頑張っている姿を見て『スポーツはいいな』というような声が聞こえてきて、それに少し安心した自分がいます。その時に初めて私も苦しかったんだなと思いました。そういう中で、子どもたちからメッセージをもらえたのですごく励みになったし、悲しいだけではなかったと改めて感じました。本当は完全に笑顔で頑張ってきますと言いたかったけど、ちょっと泣かされてしまいました。でもレースにかける思いは変わらず、しっかりやってきたいと思っています」

 最後は満面の笑顔でインタビューを締めくくった。

故郷からのエール

 サプライズプレゼンターを務めた南原小学校の井上君にも話を聞いた。Tシャツから分かるようにミニバスケットボール選手で、講演で聞いたアスリートとしての喜納の言葉が心に響いたと話した。

 「『歩けたり、スポーツしたりできることが当たり前ではなく、素晴らしいことなんだ』という喜納さんの言葉がすごく心に残りました。パラリンピックでは本当に勝って欲しいと思います。一生懸命応援したいです」

 表敬当日は、喜納の母校・田場小学校の子どもたちからもメッセージカードやプレゼントが届いた。初めてかつ過去に例のないコロナ禍でのパラリンピックへ挑む喜納を応援するたくさんの人、そしてメッセージを胸に、大舞台を楽しんで欲しいと心から願う。車いすマラソンは大会最終日の9月5日(日)朝6時半のスタートとなる。

パラスポーツを知る・応援する

 最後にパラリンピックの各競技では、選手それぞれの障害の度合いによって区分がある。陸上の喜納の場合はT52。Tはトラック競技、5は障害の種類、2は障害の程度を表している。一般社団法人日本パラ陸上競技連盟のホームページでは選手のクラス分けや競技について詳しく説明されている。ぜひ目を通してパラリンピックを楽しみ、応援して欲しい。

 またオリンピック空手形で県勢初の金メダルを獲得した喜友名諒選手と喜納は沖縄国際大学で同期の卒業生でもある。喜友名の活躍は大いに刺激を受けたと語った喜納だが、沖国OB・OGや関係者にも大きなエールをお願いしたい。

日本パラ陸上競技連盟 基礎知識
沖縄県障がい者スポーツ協会
東京パラリンピックガイド

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