「しくじりから学ぶSNS」 玉城県議の投稿はなぜ批判されたのか

 

 私は、今回の皮肉がうまく伝わらなかったのは、玉城県議の「表現」の他にも、沖縄に過密集中している米軍基地とその被害の温度差によるものではないかと考えています。

 ルールを無視して時間帯問わず飛行し、騒音被害を発生させている軍用機に辟易している沖縄県民(特に宜野湾市の住民)からすると、無邪気にオスプレイを見学して楽しんでいる山形の人たちを見て「そんなに楽しいなら引き取ってくれ」といったところでしょうか。

 このコラムはあくまで「SNSでの伝え方」を主としておりますが、併せて「沖縄への米軍基地過剰負担」という構造も念頭に入れておきたい事案ではあります。

そもそも意図を伝えることは難しい

 少し視野を広げて考えてみると、自らの意図を多数の人にきちんと伝えるのはかなり難しい技術です。SNSに限らず、LINEなどのメッセージアプリにおいても些細な行き違いで友人とトラブルになったことのある人は多いのではないでしょうか。

 「◯◯さん、面白くない?」だと肯定的な意味ですが、「◯◯さん、面白くない」だと否定的なニュアンスにも受け止められます。文字・記号一つで180度意味が変わります。

 じっくり考えて手紙を書いていた時代とは違い、私たちはいつでもどこでもカジュアルにスマホでメッセージを送り、返事をします。「ながら」で文字を入力することも多く、正確さよりもスピードが重視されます。

 対面した状態の会話だと、表情や身振り手振り、声のトーンなどで感情や意図も伝わりやすいですが、文字だけだとこうした周辺情報を頼ることはできません。また、スマホを介したテキストコミュニケーションの場合、受け手と送り手のシチュエーションにギャップが生まれることもあります。

 例えば、送り手は酒を飲みながらふざけて送信したメッセージを、受け手は仕事中の真剣な状態で読んでムカっとしてしまう…などです。お互いに悪気はなくとも、些細なすれ違いが重なり、最終的に仲違い・大喧嘩に発展することは「スマホトラブルあるある」です。情報の伝達スピードが早い時代だからこそ、適切に意図を伝える技術が求められます。(政治家であればなおさらですね)

  他人とのコミュニケーションに分かりやすい正解はありません。だからこそ、人の失敗を分析して自分ごととして考え、その上でトライ&エラーを繰り返して前に進むしかありませんね。
(と、私自身の仲違いした人の顔が思い浮かびながらこの原稿を書きました)

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