大宜味産の日本そばブランド化へ 10年“隠れていた”地域資源

 

 大宜味産ソバは早刈りが特徴だ。ソバの実が黒くなる前に収穫することで収穫量は減ってしまうが、風味は強く香り高くなる。そば殻を綺麗に剥き中の白い部分のみを使い粉にするため、そば粉10割でも粘りのあるそばを打つことができる。そこまで手間をかけて徹底的にこだわるのは、「自慢の美味しい蕎麦を食べて大宜味村の豊かな自然をより身近に感じてほしい」という農家の想いが込められているからだという。

糸満の製麺業者と商品開発

 すっかり大宜味産そばに魅了された荒木さんのグループは、村外の人たちにも食べてもらえれば魅力が伝わると考え、大宜味産そば粉を使った麺を商品化するプロジェクトを開始した。

 「沖縄は製麺会社がたくさん有るんですけど、作っているのは沖縄そば中心。日本そばの麺を作ってくれるところを見つけることが大変でした。沖縄そばの製造ラインは小麦しか扱っておらず、そば粉を扱うとなるとアレルギーの問題もあるので」

 当初は県外業者も含めて交渉し、試作をしていたが、輸送コストなどの問題から県内企業との商品開発を模索。西崎製麺(糸満市)が麺の製造を引き受けてくれることになり、今年2月に麺の試作を開始した。

 商品化にあたりこだわった点は、そば粉の割合だ。大宜味産そばの最大の特徴である香りをしっかり感じてもらうため、そば粉8割・小麦粉2割の8割蕎麦にした。開発は試行錯誤の連続だったという。最初に作った試作品は、一晩経つと麺が切れてしまい失敗。つなぎの配合や水分量を変えて試作を繰り返し、ようやく満足の行く麺が完成した。

 「完成した麺は2分ゆでて簡単に香りが上がってくるところが特徴で、大宜味産そば独特の香ばしい香りを食べ始めから最後まで楽しむことができる。全国の日本そば好きにも食べてもらいたいし、普段沖縄そばしか食べていない沖縄の人にも、ぜひ一度味わってもらいたい」

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