軍港問題で足並み揃わず、知名度不足も 浦添市長選・敗れた伊礼氏
- 2021/2/9
- 政治
軍港移設の是非で食い違い
さらに、最大争点に位置付けた那覇軍港移設問題に対する伊礼氏と玉城デニー知事、そして「オール沖縄」内での意見や姿勢の食い違いも、盤石な支援体制を築くことへの大きな障壁になった。
伊礼氏は市議時代から移設なき無条件の返還を求める立場を示しており、今回の選挙戦では移設を「容認」した松本氏に対して「2度も市民を裏切った」などと強く批判し続けた。しかし一方で、伊礼氏を支援した玉城デニー知事も軍港移設については合意しており、さらに「オール沖縄」内でも意見の相違があったことで、市選出の県議や市議候補者の一部も含めて十分な協力体制を構築できなかった。
玉城知事は2月3日、伊礼氏の街頭演説に駆け付けてマイクを握った。コロナ禍での経済支援策や医療政策の拡大について語りつつ伊礼氏を応援したが、最大の争点に位置付けられている軍港移設については一言も言及をせずに演説を終え、チグハグな印象が際立っていた。
伊礼氏は軍港移設の反対を繰り返し強調したものの、県と那覇市と3者合意にまで至った現状にどう対応するのかも含めて、移設中止についてのプロセスや取り組みを具体的に示せておらず、それが訴えの説得力を削いでしまっていたことも否めない。
来年の知事選への前哨戦として位置づけられた浦添市長選は、玉城知事とオール沖縄勢力にとっては1月の宮古島市長選勝利の勢いに乗れず、手痛い結果となった。加えて、意見の相違で一枚岩になれない結束力不足も露呈した。
4月にはうるま市長選が控える。オール沖縄をしっかりとまとめ上げ、万全の体制を築いて次の選挙戦に臨むことができるか、玉城知事の求心力が問われる。