世界の沖縄そば ブラジル、ハワイ、ペルー それぞれの受け継がれかた
- 2020/11/15
- 食・観光
特徴は「盛り付けの大胆さ」。カンポグランデの沖縄そばと同様、ボリューム感ある盛り付けが共通している。沖縄では麺が見えるよう盛り付けをしているのが一般的だが、ブラジルでは麺を見せない。これには理由がある。「ブラジルはがちまや〜(食いしん坊)が多いから、たくさんのせている」からだと千歳さんは笑って言った。量より質という考えより、質より量というのがブラジルでは重視されているようだ。
製麺会社まである ハワイ
次に、ウチナーンチュが2番目に多いアメリカからハワイの沖縄そばを紹介する。ハワイは約5店舗ほど沖縄そばを提供しているレストランがあり、その中で代表的なお店が「サンライズレストラン」。北谷町出身のオーナシェフ玉寄朝勝さんと奥さんの朋子さんの2人で営み、寿司や沖縄料理が楽しめる人気のレストランである。
ダシはかつおだし。麺はサンヌードルというメーカーの太麺を使い、盛り付けはソーキ、かまぼこ、青ネギ、紅生姜。ハワイの県系人と結婚してハワイに移住した沖縄出身の女性の話によると、どうやらハワイには、他の国と違って製麺会社があるようだ。
「サンヌードルという製麺会社が沖縄そばも作っていて、スーパーにも売られているので、家庭でも沖縄そばが作れます。そして、ほとんど全てのレストランがサンヌードルの麺を使っていると思います」
「ハワイの沖縄そばは、かなり沖縄のものに近いです。ダシも麺もソーキも、沖縄の食堂で出しても違和感はないと思います。強いて言えば、赤いカマボコが使われるところ。赤というか、白いカマボコはスーパーでは手に入らないんだと思います」
製麺会社があるとは、沖縄そばの食文化を支える頼もしい存在である。沖縄そばはレストラン以外だとイベントで食べることができる。8月末から9月にかけて行われるオキナワン・フェスティバルの2日間は沖縄そばがハワイで一番食べられる日で、毎年、ハワイ州知事、ホノルル市長がフェスティバルを訪れた際には必ず沖縄そばを召し上がり、行列ができるほど現地からも人気が高い。なお、フェスティバルは、沖縄そば以外にもサーターアンダギーなどの沖縄郷土料理やローカルフードも堪能でき、ライブや民謡、盆踊りも楽しめる。
ブドウの蒸留酒「PISCO」を泡盛の代わりに ペルー
ペルーの沖縄そばも特徴があって面白い。ペルーで美味しいそばを作れる人がいると紹介してもらった諸見里明美さんは、長年沖縄そば作りを手がけ、泡盛の代わりにPiscoというブドウで作られたペルーの国民的なお酒を使い、麺はかん水を使わず、沖縄の伝統的な昔ながらの手法「灰汁」を加えて使っている。沖縄でもほとんどのそば店がかん水使用の麺であるのに、ペルーに灰汁を加えた沖縄そば麺があるとは驚きである。
ペルーでは、沖縄県人会館内のレストランやリマにある日秘文化会館、日本食レストラン、日系人のまつりなどで沖縄そばを食べることができる。ダシは、豚骨とマザーチキンで取り、骨はきれいに洗って一緒に何時間も煮込み、鰹節があれば入れる。味付けは塩、ほんだし、 Piscoのお酒、色が足りなかったら醤油も入れる。
Piscoや灰汁で作られた沖縄そばと聞くと興味をそそられる。どんな材料を使っているのか知らずに食べるのと、知りながら食べるのは楽しみ方が違う。ブドウの風味や香りを楽しみながら、味わって食べるのをおすすめしたい。