強豪のスペイン・バルセロナでバスケコーチ留学中 又吉さん、資金募り挑戦
- 2022/12/29
- エンタメ・スポーツ
「5人で戦う工夫をしている」とスペインへ
筑波大大学院を卒業後は、在学中から遠隔でアナリストをしていた広島ドラゴンフライズに同じ役職のまま入団。2年目はACとしてコート上でのコーチングも担った。学生に対するコーチングと違い、プロ球団では選手の方が年齢や経験が上回るケースも多く、「自分に足りないところも多く、なかなか大変でした」と振り返るが、試合に臨む前の準備の大切さを再認識するなど得難い経験を積んだ。
鹿屋体育大の頃から「海外で学びたい」との思いが強かったため、広島で2年間を終えたら留学することは以前から決めていた。当初はバスケ大国の米国を想定していたが、「(米国より)スペインのバスケの方が5人でいかに点を取り、守るかを工夫していると感じた」とコーチングを学ぶ上でスペインがより適していると感じ、行き先を決めた。
まだ学生だった4年前、スペインリーグのU16、U18チームの練習を20日間見学した際には「一つのプレーに対しての細かさ」「選手の気づき、競争性を促すようなクリエイティブな練習ドリルの内容」などにも衝撃を受けたことも影響したという。
現着後、一時路頭に迷う 名門バルサのGM紹介される
現地に着いたのは7月下旬。元々はスペインリーグトップカテゴリの別のチームに入る予定だったが、又吉さんが到着した日から3日後、渡航前からやり取りをしていたHCがイスラエルのチームに移籍してしまい、一時受け入れチームがなくなった。異国の地で路頭に迷いかけたが、そのHCが元々所属していたというFCバルセロナのゼネラルマネージャーを紹介してくれ、現地入りから約1カ月にしてついにコーチングを学ぶ環境が整った。
FCバルセロナはサッカー界ではあまりに有名な世界トップのクラブだが、バスケ界でもスペインリーグやユーロリーグで何度も優勝を重ねてきた欧州の強豪クラブだ。スペイン代表を長らく牽引してきた元NBA選手のパウ・ガソルとマルク・ガソルの兄弟や、”神童”と呼ばれたリッキー・ルビオも輩出した。
又吉さんはまさかの展開に「事実は小説よりも奇なりとはまさにこの事」と当時の驚きを振り返る。
状況判断養うコーチング学ぶ
バルセロナU17のACに就いてから約4カ月。球団は三つのユースカテゴリを有しており、「育成における組織力はすごいと感じます。どの試合にどの選手を出場させるのか、どの子を飛び級させるのか、HCの考えをどうACで共有して統率を取るのか。そのあたりを組織としてしっかりできていると思います」と話す。選手を育てる上でも「プレーヤーの状況判断を養うための練習設定がとてもうまい。本当にいろいろなことを勉強させてもらってます」と充実した日々を送る。
シーズンは最長で来年6月まで続く。日本に戻った後については「学んだことを発信したり、留学に行きたい人に対して自分なりのサポートをしたりできたらいいなと思っています。今学んでいることを生かして日本を強くするために貢献できることは、育成に関わることかなと考えています」と見通す。
沖縄の子どもらへのメッセージを求めると、「もし何かやりたい事があるなら、国内でも海外でもいいから一度外の世界を見てみてほしいです。そうすればその場所の良さが分かるし、逆に沖縄の良さも分かると思います。あと、ちゃんとやりたい事を口にすることも大事です。発言することでやる気も出てくるし、サポートしてくれる人も増えてきます。ぜひ、勇気を持って一歩を踏み出してみてください」と熱い言葉を送った。