社会人野球の象徴!! 都市対抗野球沖縄県予選①

 

 社会人野球の2大大会といえば、夏の都市対抗野球大会と、秋の社会人野球日本選手権。2020年は、東京オリンピックが開催されることを踏まえて日本選手権を7月、都市対抗を11月に変更していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、日本選手権は中止となり、現在、都市対抗のみが予定されている。

 都市対抗野球大会とは、日本野球連盟に加入しているどのチームも参加でき、本拠地・東京ドームで地元の応援を背に戦う社会人野球の象徴の大会だ。歴史はなんとプロ野球リーグよりも古い。1927年当時、野球と言えば高校野球と東京六大学野球だけで、卒業したらもう花形選手たちのプレーが見られなかった。それは寂しい、もう一度見たいというファンの声に、いち新聞記者が実業団野球の開催を思いついたのがきっかけ。今年で91回を数える歴史ある大会である。

 連盟に加盟しているどのチームも参加できるということは、地方予選を戦わなければいけない。まさに県代表を決める高校野球と同じ感覚。異なるのは、全県からではなく全国12地区に分かれて予選を行い、地区を勝ち抜いた31チームと前年優勝したチームを加えた、全32チームで戦うところ。沖縄の場合、勝ち抜いた2チームが九州大会に出場、そこで勝ち上がった2チームが九州地区代表として、全国大会、憧れの東京ドームで試合ができる。まさに社会人野球の甲子園なのだ。

経験豊富な沖電VS石嶺監督率いるエナジック

 沖縄県予選は8月8日から始まり17日で終了予定だったが、天候に左右されて日程がのびにのびた。沖縄全6チームで勝ち上がったのは、経験豊富な沖縄電力と、石嶺和彦監督が就任し実力を上げてきたエナジック。決勝戦は、8月29日、コザしんきんスタジアムで行われた。

試合前エナジック円陣で気合い

 先発はエナジックが川邉龍ノ介、沖縄電力はルーキーの山城悠輔。双方三者凡退で始まった試合が動いたのは二回。沖縄電力は渡慶次道彦が四球で出塁すると、平良大悟の安打でチャンスをつくり、金城秀一郎の適時二塁打で2点を先制、その後我如古剛瑠の本塁打で一気に5点をもぎ取った。早々に流れを引き寄せ八回にも1点を追加した。

 一方、エナジックは、沖電のルーキー山城の緩急をつけた投球に的を絞りきれず、1点を取るのがやっと。八回には一死1,2塁と得点好機を作るも後が続かず、6-1で沖電が第一代表を獲得した。

ホームランでガッツポーズの我如古剛瑠選手

 試合後、沖電の古謝景義監督は「エナジックは力をつけてきているので警戒していた。先発の川邊対策がうまくはまった。言えないですけど・・。打撃は、昨年より良くなってきているが、コロナで練習試合もできず、他県と戦っていないので、九州でどうでるか楽しみ。先発の山城はコントロールが良いし、打者をみてしっかり投げられるので、(先発は)決めていた。丁寧に緩急つけて良く投げた。本土にいったらなかなか点がとれないと思うので、我慢して戦ってほしい。東京ドーム目指して頑張ります」。とホッとした表情で語った。

 本塁打を放った我如古剛瑠選手は「公式戦2年ぶりのホームラン。チャンスだったので、なんとか2塁ランナーを返したいと。第一打席で内角のカットボールでやられたので、それを狙っていました。風が後押ししたんじゃないですか?」と謙遜した。

 「剛瑠」は「ごうる」と読む。サッカーっぽい名前なので、きいてみると「それ100万回くらい聴かれます。(笑)余談ですけど、兄はシュートって言うんです。でも二人ともサッカーやらずに野球やっているんですよ」。笑いながら話すその手には「GOAL!!都市対抗予選ホームラン」と書かれたホームランボールが握られていた。  

勝因は先発山城の好投

 この試合の勝因はなんと言っても、先発山城悠輔の好投。本人は「一人一人、いつも通りテンポ良く投げようと。キャッチャーのサインそのまま投げました。ストライク先行でいけたのが良かったですね。大学(九州共立大)はリリーフだったんですけど、先発は楽しいです。先輩方も後ろから良く声をかけてくれて、投げやすい環境をつくってくれます。今年はコロナで大会がないので、この大会で代表権(九州地区)を獲得して、野球できる環境に感謝です。結果をだして恩返ししたいですね」。と爽やかに笑った。

好投した先発・ルーキー山城悠輔投手

 実は、試合中、筆者の携帯に「沖電、勝っていますか?」というメールが某中学野球部監督から入っていた。「山城投手が好投してリードしています」と伝えると「僕のいとこなんです」と驚きの返信があった。そのことを本人に伝えると、「父方のいとこです。僕、東浜巨投手(ソフトバンク)もいとこなんです。母方で」と驚きの発言が!!

 きけば、今年、自主トレも一緒に行ったそう。「開幕投手もやって、すごい人です。自分は自分だから、お前なりに頑張れって言われています。全国に行ったら少しはみてくれるかな・・・」。東浜投手とよく似たまん丸の目が輝いた。

 さて、沖縄電力が第一代表ということは、第二代表もあるわけで。都市対抗の特徴の一つに「敗者復活戦」がある。この日負けたエナジックと、敗者復活戦から勝ち上がったシンバネットワークアーマンズベースボールクラブとの勝者が、沖縄の第二代表として九州大会に参加できるしくみだ。

勝利後のミーティング

 決戦は翌日。ミラクルが起こった第二代表決定戦については次回。

沖電    050000010|6
エナジック 000001000|1

沖縄電力
1 番DH我如古
2 番5 田場
3 番9 宮國
4 番3 金城(長)
5 番9 渡慶次
6 番4 平良(大)
7 番7 金城(秀)
8 番2 宮里
9 番6 内間(滝)⇨小濱
投手:山城⇒狩俣⇒伊波⇒内間

エナジック
1番DH山川 
2番4 國吉 
3番7 中村
4番9 宮城
5番3 田中
6番8 大城
7番5 慶田盛
8番2 城間 ⇨知念⇨比嘉(守)
9番6 藤村
投手:川邊⇨山西⇨井手⇨山下⇨上山

本塁打:我如古(沖) 二塁打:金城秀(沖)宮國(沖)國吉(エ)

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相羽 としえ

相羽 としえ

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愛知県生まれ。東海ラジオアナウンサーからフリーアナウンサー&ライターに。スポーツニッポン、中日スポーツなどのスポーツ記者を経て、2017年沖縄与那原町に移住。3年間地域おこし協力隊として与那原の情報発信に務めた。現在もまちづくりなど様々な情報を発信中。

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