キムタツコラム⑨アドリブ力で乗り越えろ!ラジオ番組と保護者面談

 

 番組が始まり、お二人の楽しいトークが流水のように軽やかに流れていきます。ここに僕が入るのかと思いながら、呼ばれるのを待っていました。そのときが来ました。椅子に座りまして、いきなりひーぷーさんが「灘校でしょ!東大にいっぱい生徒を入れていたんでしょ!どうしてオリジン・コーポレーションなんかに入ったんですか!後悔していませんか!」とおっしゃいます。それを受けてKジャージさんも「それ聞きたい!」とかぶせます。でも、これは昨年の夏に「ナガハマヒロキの週刊リッスン」(RBCiラジオ)に出演したときも聞かれたことですので、オリジン・コーポレーションに入るきっかけについて、大して面白くもなく話しました。内心は「ここからスタートしてくださってありがとう」の気分でいっぱいでしたね。

 ところがです。なかなかそう簡単にはいきません。リスナーからの質問に答えるコーナーに僕も入ることになったのです。ゲストではありますが、お二人が僕に質問するというよりもむしろ、お二人のトークに僕も入るという形だったのですね。こういうトークって、その質問に対する答えを言って終わりってことにはならないじゃないですか。相手の答えに対して、いろいろとトークをかぶせていくでしょ。楽しいのは楽しいんだろうけど、僕はどこまで出ていっていいんだろうと思いながら、時を待ちました。「今までに会った有名人は誰ですか」とか「今まで猛ダッシュした経験はありますか」など、いくつもの質問が取り上げられていました。

 ラジオを聞くときってのんびり聞いているものだと思うのですが、それでもほら、それなりに面白くないと他局にアクセスするじゃないですか。テレビも同じですね。つまらないなぁと思ったら、チャンネルを替えますよね。最初に打ち合わせがあって、こういう質問が行きますからと予定調和なのがテレビの世界なのですが、ラジオって本当にその時に突然話を振られるものなんですね。そしてその瞬間に、リスナーがチャンネルを替えないような話をしなければならないんですね。

教員の世界とも共通点が

 ラッキーなことに、教員の世界でも似たようなシーンがあるんです。それは保護者面談です。保護者から「ところで岡山大学ってどういうレベルなんでしょうか」とか「洋楽を聴いているみたいなんですけど、これってリスニングの勉強になりますでしょうかねぇ」なんて質問を突然突きつけられるんです。若いうちは「調べます」とか「難しいかもしれませんねぇ」なんて曖昧な回答をするのですが、そうすると年上の保護者から「この若い教師、駄目だな」と思われるのは間違いありません。ほぼ100%、そう思われます。

 瞬発力のある教員は「岡山大学なら、まずは共通テストでの高得点が求められますね」とか「洋楽では駄目ですね」などと断言するんです。断言には重みがありますからね。もちろんその断言がまったく論理的ではなく、相手の質問に対する返答になっていない場合には、こいつアホかという反応をいただくことになるのですが。

 ラジオの世界も同じですねぇ。その点では面白かったです。ひーぷーさんもKジャージさんもさすがのひと言でした。僕ですか。いやもうぜんぜん面白くない話をしてしまったように思います。「有名人、大阪で西川きよしさんに挨拶しました」とか。自分で「なにがおもろいねん」と思いながらしゃべっていましたが、もう話し出したらどうしようもありませんわな。

いつものラジオ番組に秘められた瞬発力

 沖縄ってラジオを聞いている人が他県より多いように思います。タクシーに乗ると、他県では音楽すら流れていませんが、沖縄の運転手さんはほとんど100%に近いぐらいラジオをかけていらっしゃいます。もしかしたら番組のゲストの方が僕と同じように、口から肛門が出そうな気分になっておられるかもしれないなぁと思いながら、皆さんもラジオを聞いてみてください。突然の質問にも動ぜずに答えられるパーソナリティーも、実は打ち合わせもなにもなく、瞬発力を遺憾なく発揮されているということも知っておいてください。ひーぷーさんとKジャージさんにはお世話になりました。感謝申し上げます。

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