新世代、世界のウチナーンチュ 9)ペルー沖縄県人会文化部長・小波津カリナさん
- 2022/5/5
- 国際
近隣国の県人会とも連携して活動
1年間の県費留学を終了した後はペルーの大学に戻り、卒業して日系企業などでフェイスブック、インスタグラムなどのSNSも活用したマーケティング、広告の仕事をしている。ペルー沖縄県人会文化部長としての活動はコロナ禍で一時停滞しているが、Zoomや、SNSのライブ機能を活用し芸能活動、講演(歴史や文化)のアレンジをしている。慰霊の日にペルーと沖縄とつないだ講演や、同じスペイン語圏であるアルゼンチン、ボリビアなどとの県人会も一緒になって活動を継続している。ペルーには沖縄の祭り太鼓のペルー支部やエイサーチームがある。また、古波津さん自身も勉強した三線、琉球舞踊、紅型の染(現地の素材でできるだけオリジナルの技法を使った)などのサークル活動は若い人に人気があり、会としても力を入れている。
将来の夢について、「仕事はマーケティング、広告が好きなので続けたい。ペルーの経済は停滞しているので、沖縄にもう一度行きたいし仕事もしてみたい」「ペルーでも引き続き県人会活動を頑張りたい」と話してくれた。その一方で「ペルーでも若い県系人は(ウチナーンチュとしての)アイデンティティ意識が薄いこともあるし、何よりもどんどん、1,2,3世が少なくなっている。沖縄でない場所でアイデンティティを伝承していく難しさを最近常に感じている」と課題を感じている。小波津さんの力強い言葉に、ウチナーアイデンティティを継承していきたいという責任感のようなものを感じた。若い人たちが「チムドンドン」でき沖縄に興味を持つような環境を作るために、小波津さんはこれからも芸能関係に力を入れていきたいという。
「三線やエイサーなど、若い人は芸能にとても興味があるし、(文化に触れるきっかけとして)入りやすいのでそこから次世代にアピールしていく。今は韓国の芸能や映画が人気だが、また日本のドラマや歌が流行ってビギンや安室奈美恵の様に沖縄のスターが出れば、若い人へのアピールにつながるのでは」と期待している。
沖縄の若者たちにも「ウチナーンチュとして誇りをもってほしい。祖先の努力や苦労の歴史を大切にして、ウチナーンチュとしてのルーツを忘れないでほしい」との思いを持ち続けている。留学生として沖縄にいた時、特に沖縄の若いウチナーンチュは歴史や文化についてあまり興味がなく知識が少ないと感じたという。小波津さんは、沖縄にまつわる様々な活動を通して自分のルーツを知り、世界のウチナーンチュともつながり合うことで、そこから更に「人生の大切なこと」を知ることができると信じている。