【視点】不透明感の中で分岐点に立つ沖縄経済の対応を

 

 日本銀行那覇支店が8日にまとめた「県内金融経済概況(2022年4月)」では「県内景気は、厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」との判断を示していた。

 需要項目別にみると、個人消費については「感染症の影響によるサービス消費を中心とした下押し圧力が和らぐもとで、持ち直している。観光は、厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる」と判断。公共投資は「緩やかに増加している。設備投資は下げ止まりつつある」、住宅投資は「下げ止まりつつある」としている。

 「持ち直しの動き」「下げ止まり」といった判断は、景気が悪い中でもベクトルは上方を示しているということだ。

 また、企業の業況判断(全産業)は足元は▲19 の「悪い」超だが、先行き予測は「悪い」超幅が 12 ポイント縮小し、▲7 の「悪い」超となる見通しで、「持ち直しの動き」を裏付けている。

 しかし、このレポートには重要な一文も書かれている。それは「目先の県内経済は、厳しい状況が続くものの、感染症の影響が和らいでいけば、持ち直していくとみられる」というものだ。

 「感染症の影響が和らいでいけば、持ち直していく」とうことは、新型コロナが再拡大すれば、景気の足をおおきく引っ張るということだ。

 旅行会社の「旅工房」が全国の10代以上の男女605人を対象にWEBアンケート方式で実施した「2022年のゴールデンウィークの過ごし方に関するアンケート」で「今年のGWをどこで過ごすか?」と聞いた(複数回答)ところ、「自宅」が74.2%でトップ。次いで「近場(公園や買い物など)」が38.5%などとなっており、「日帰り旅行」は15.4%、「国内旅行(宿泊」が6.8%などとなっている。

 ただでさえ沖縄観光客の回復が希望的に見通せない中で、新型コロナが再度拡大するような、県内経済の大きな押し下げ要因となる。

原油や原材料価格の上昇が収益を圧迫

 さらに、懸念すべき材料もある。新型コロナと経済活動の両立を図る世界的な経済活動の活性化による需要の急増や、ロシアのウクライナ侵略などにともなう原油や原材料価格の上昇だ。

 沖縄振興開発金融公庫が19日に公表した「原油・原材料価格上昇に関する影響調査報告」によると、回答した県内企業316社のうち、収益を「大きく圧迫している」が25.3%で、「やや圧迫」が48.4%で、圧迫を受けているのは計73.7%に達している。

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