沖縄市長選が告示 森山、桑江両氏が第一声 県下第2の都市

 
沖縄市長選に立候補した(左から)桑江朝千夫氏と森山政和氏=17日午前、沖縄市内

 任期満了に伴う沖縄県沖縄市長選が17日に告示された。届出順に新人で前市議の森山政和氏(73)=立民、共産、社民、社大、にぬふぁぶし推薦=と、3期目を目指す現職の桑江朝千夫氏(66)=自民、公明推薦=の2氏が立候補を届け出た。投開票日の24日まで、喫緊の課題となっている貧困問題の解決や地域活性化策などを争点に、それぞれの政策を訴える。

沖縄市は県庁所在地の那覇市に次いで県内で2番目に多い約14万人の人口を抱えるため、夏の参院選や9月の県知事選の結果を占う意味でも注目の選挙となる。

立候補を届け出た両氏のポスター。奥は沖縄市役所

 17日朝には、森山陣営が「出発式」、桑江陣営が「出陣式」をそれぞれ沖縄市内の主要交差点で行った。力強いスピーチに集まった支持者も拍手で応え、熱い選挙戦が幕を開けた。

森山氏 「小さな再開発」で地域活性化

 コザ十字路で出発式を開いたのは森山陣営。支援者たちが緑色ののぼりを手に、歩行者や車両に手を振って支持を呼び掛けた。

 妻にたすきを掛けてもらった森山氏は引き締まった表情で壇の中央に立ち、マイクを握った。選挙戦が開始したことを受けて「私は誰一人取り残さない、人に優しい街づくりのために立候補を決意しました」と力を込めた。

自身の政策を訴える森山政和氏

 沖縄市の一人当たりの市民所得が41市町村中39番目であることに触れ、現市政について「経済対策には一つも目をくれず、大きな箱物づくりを追求してきた」と批判。コザ十字路のバスターミナル構想や各地域での「小さな再開発」を掲げ、「人材づくりに最大限の投資をしていく。ただちに市民所得10%アップに取り組む」と宣言した。

 米軍嘉手納弾薬庫知花地区に米軍牧港補給地区の倉庫群などが移転することに触れ「基地の強化は絶対に許されない。騒音問題やPFOSによる汚染問題も然りです。日米地位協定の抜本的な見直しを玉城県政と連携して国に訴え、基地被害のない沖縄市を目指していきます」と展望した。名護市辺野古で進む米軍普天間飛行場の移設工事については「海を壊して作られている新基地の建設は断固反対」と語った。

 連帯のあいさつには玉城デニー県知事をはじめ、伊波洋一参院議員や連合沖縄の東盛政行会長らが応援弁士として登壇した。

 玉城知事は「森山候補は先生として多くの子どもの道を示し、市議になってからは市民の声を行政に橋渡ししてきた。森山さんを先頭に新しい街づくりに取り組みましょう」と強調。伊波氏は市民所得について「10%のアップはどうしても実現しなければいけない課題です。これまで41回マラソンを完走した森山候補はそれを実現する力があると思います」と投票を呼び掛けた。

桑江氏 貧困対策で「負の連鎖断ち切る」

 胡屋十字路で開かれた桑江氏陣営の出陣式では、支援者が青色ののぼりを手に、過ぎゆく歩行者や車両にアピールした。

 妻にたすきを掛けてもらった桑江氏は、必勝祈願のダルマの目入れをすると、開口一番で支援者への感謝を述べた。マイクを握り「これからしっかりと公約を訴え、身体に鞭打って頑張っていきます」と気勢を上げた。

自身の政策を訴える桑江朝千夫氏

 昨年3月に完成した沖縄アリーナについては、来年行われるバスケットボールのワールドカップに言及しながら、これまでの誘客効果にも触れて「コロナ禍でも目に見える効果がしっかりと出てきており、20数年ぶりに新しいホテルが建ちました」と実績を強調。「もっともっと市民が肌で感じるぐらいの経済成長を取り戻してみせます」と宣言した。

 胡屋地区近辺の拡幅事業で交通結節点を整備する「バスタプロジェクト」にも言及。「交通を便利にすることで新しい商店街を築き上げ、この地域を一変します。『これまでの50年』から『これからの50年』に変えていくんです」と拳を握った。重点政策に貧困対策を挙げ、「負の連鎖を断つ仕組みを作るために、行政だけでなく市民や企業の皆様の力を借りなければならない」と訴えた。

 連帯のあいさつには自民党組織運動本部長の小渕優子衆院議員をはじめ、西銘恒三郎沖縄担当相や島尻安伊子衆院議員らが応援弁士として登壇した。

 小渕氏は「桑江市長は2期8年で公約達成率90%を超えます。こんな市長は全国探しても他にはいません。沖縄市の明日をつくることができるのは桑江さんの他にいないんです」と力説。島尻氏は「1つ1つの政策をきちっと進めてきた桑江さんの沖縄市政がこれからの沖縄全体の発展にもつながります。桑江市長を変える必要は全くありません」と投票を呼び掛けた。


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