【視点】沖縄経済に求められる発想の転換

 

確かに、沖縄県は過酷な戦禍に見舞われたし、現在も多くの在日米軍が駐留している。それは間違いない。在日米軍の駐留は、今でも沖縄に負担をかけているのは事実で、政府が沖縄振興策を実施するうえで考慮しなければならない要因に違いない。

とはいえ、だからといって、これまでのような財政資金頼りの需要拡大で経済を下支えするのでは、自立した経済はつくれない。

今回の計画でも「復帰後の沖縄経済は規模の拡大を続けているものの、需要の拡大によって牽引された経済成長が主であり、経済の筋力・体力による成長は乏しく、著しい脆弱性が見られる。この経済の筋力・体力とは技術進歩、生産性、生産力や移輸出力のことを言い、この点が沖縄経済のマクロ面における最大の特徴であり、克服を図るべき体質といえる」と述べられており、自立的な経済をつくる必要性を指摘している。

そうであれば、〝国頼り〟の経済振興は仕方ないものの、それに頼り切るのではなく、今後を見据えて、自立的かつ自律的な成長ができる経済政策を打ち出すべきだろう。

DX人材の確保をどうするのか

計画では、「県民所得の着実な向上につながる企業の『稼ぐ力』の強化」として「島しょ経済の不利性を抱える本県において、イノベーション型の経済成長を実現するには、経済発展と社会課題の解決を両立する人間中心の社会であるSociety5.0の実現に向けた戦略的で横断的な施策展開が求められている」と指摘。

さらに「県内産業の労働生産性を引き上げるには、本県における社会・経済の DX推進に向けた取組の総称である‘リゾテックおきなわ’の推進により、観光産業、ものづくり産業、建設産業、農林水産業、物流、各種サービス業など、様々な産業における DXを加速させ、AI や IoT、ロボット、ビッグデータ等のデジタル技術の活用によるビジネス変革を促すとともに、科学技術によるイノベーションの創出が不可欠」と強調している。

イメージ写真

確かに、さまざまな産業のDX推進は今後の成長の鍵を握るだろう。そういう意味では、DXの推進で沖縄の経済を活性化するという視点は間違いではない。だが、当然のことながらDXの推進は他の都道府県も注力する分野で、それぞれ振興策を検討しているだろう。現在、DX推進は日本全体で求められており、ある意味、地域間競争が激しくなる分野だ。

DXを推進するのは人材だ。しかし、計画では人材確保の方策が希薄だ。他地域の人材を引き抜いてでも社会を変えるという意思が見えない。これでは絵に描いた餅に終わるだろう。

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