「台湾有事」意識させた露軍ウクライナ侵攻 石垣市長選の投票結果に影響か

 

駐大阪中国総領事の仰天ツイート

 ウクライナ侵攻があった24日、この事態が中国による台湾有事にもリンクするとの見方を想起させるSNS上の、ある発言が日本国中で物議をかもした。中国の駐大阪総領事、薛剣氏がツイッター上に投稿した「弱者は強者にケンカを売るな」という内容の発言がそれだ。

 薛氏は2021年8月、アフガニスタンからの米軍撤退の際も、米軍機にしがみつき、ふりおとされるアフガニスタン人の人命を軽視したかのような不謹慎な投稿をしており、「言論の戦狼外交官」とされているが、この時も台湾の大手ラジオ局で会長を務める最大野党・国民党の趙少康氏が、ウクライナ情勢を引き合いに中国を過度に刺激することへの懸念を示した発言動画に反応。ツイッターにおいて日本語で「ウクライナ問題から銘記すべき一大教訓」と題した投稿を行った。その内容は次のようなものだった。

「『弱い人は絶対に強い人に喧嘩を売る様な愚かをしては行けないこと!仮に何処かほかの強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ。』これと関連で更に言えば、『人に唆されて、火中の栗を拾ってはいけないこと』だ」

 弱者否定のこの発言にはさすがに「外交官失格」などの返信が殺到し、大炎上。翌25日、狼狽気味に「誤解」「曲解」だとして「『恃強凌弱、以大欺小』(力をたのみとする弱い者いじめ)は中国外交ではない」と釈明したが、添付の動画が鶏をウクライナ、鶏を棒で打ち据える農夫をロシアにたとえており、これに「わかりやすい」などと皮肉の返信が殺到。炎上の火に油を注ぐ結果となった。

読めなかった石垣市長選

 2月27日投開票の石垣市長選の開票結果は次の通り。

▽中山義隆 無所属 現 当選 1万4761票
▽砥板芳行 無所属 新    1万2307票

 投票率は70・54%で前回を3・01ポイント下回った

 石垣市議を経て、平成22年の市長選挙で初当選し、3期12年、市長を務めてきた中山氏が自公選挙協力体制で市政継続を、新人で保守系前市議の砥板氏が史上初の保革共闘体制を背景に市政刷新を訴えたが、2023年3月末までに予定されている同市内への陸上自衛隊の部隊配備について、砥板氏は賛否を問う住民投票を市長提案で行うと訴えたのに対し、中山氏は配備を容認。市長提案では行わない考えを示していた。

 結果は、票差約2400票で中山氏が現職の強みを発揮したように思えるが、地元漁協関係者によると、「けっして危なげない勝利とはいえない。石垣市長選では風向き次第で容易にひっくり返る票差」という。

 「脱新型コロナウイルス」と「景気回復」を公約の主軸にすえた中山氏は、PCR検査機器を速やかに導入したことや、県内自治体で1、2を争う迅速なワクチン接種などで危機管理能力や実行力が評価されていたのも、ウクライナ侵攻の最中、「台湾有事」の危機感もたかまる中で、追い風となったとみるべきだろう。保守系前市議の砥板氏は革新票をベースに支持拡大を図ったものの、革新層内部の強い反発もあって波に乗れなかった。

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