平均年齢75歳!沖縄の「嘉手納シニアヒップホップクルー」参上

 

 前川さんは、2019年に大学の実習で嘉手納町社協を訪れた際、おばあちゃんやおじいちゃんのパワーに圧倒され、講師となることを決めた。

指導を行う前川萌さん(提供:嘉手納町老人クラブ連合会)

 もともとダンススクールで子どもたちや一般成人を対象にダンスを教えていた前川さん。「高齢者に教えるのがはじめてで不安だった」といい、当時の様子を「とても熱心で覚えるのが早かった。最初はフィットネス感覚だと思っていたが、基本的なステップも踏めていて、おばあちゃんでもここまでできるのかと驚いた」と振り返る。

 その中でも驚いたのがおばあちゃんらの仲の良さと団結力だった。「みんな明るくてノリがいい。練習に参加する日は、車一台に3名で乗り合わせてきたり、振り付けをお互い教え合っていたりと仲が良い。ダンスクラブ以外にフィットネスや琉球舞踊のサークルにみんなで参加していて、もともと地域で交流があるからこそダンスでも団結力が生まれていると思った」と印象を話してくれた。

LINEでリモート練習、念願のYouTube配信

 結成翌年からは、新型コロナの影響でみんなで集まってのダンス練習ができない状況が続いていたが、LINEを使ってオンラインで練習を積み重ねた。

 前川さんのオンライン指導を受けつつ、おばあちゃんらはそれぞれの自宅でヒップホップ動画を見ながら練習。オンライン練習をはじめた当時は、スマートフォンをうまく使いこなせない人が多かったといい、中には、孫に使い方を教えてもらいながらダンス練習に励むおばあちゃんもいた。

 そんなおばあちゃんらの練習の努力が実り、プロモーション動画が完成した。挑戦した課題曲は、2015年の洋楽人気ヒット曲、brunomarsの「uptownfunk」だ。

 おばあちゃんら自身で準備したというチェーンネックレスやピアスを身にまとい、ヒップホップスタイルで登場。完成したプロモーションビデオがYouTubeに投稿されると、動画を見た家族や孫からは「みんな若々しい」「カッコいい!」と人気者だ。

 嘉手納シニアヒップホップクルーは、最近からTikTokの配信もはじめ、前川さんは「沖縄県内だけでなく日本全国・世界にも広がるように嘉手納のおばぁちゃんたちの魅力を伝えていけたらと思う」と今後の活動に意欲的だ。「オンラインで今までの復習と新しいステップの練習をしていきたい。どんどん新しい動画をアップできたらと思っている。今はコロナ禍でダンスの披露をYouTubeでしかしていないので、コロナ収束後にはイベントにも出たいと思う。そのときのために練習を積み重ねてみんなの前で踊れたら」と抱負を語った。

 嘉手納町町福祉協議会の玉置美奈子さんは「いつからだって、なんでも『やりたい』という気持ちがあればなんでも挑戦できます!今が最高の舞台!元気に過ごして行きましょう」と伝えた。

 目指すはYouTuber!!嘉手納シニアヒップホップクルーの挑戦はまだまだ始まったばかりだ。

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