「沖縄署騒動」とネット言論 問題点を冷静に振り返ってみる

 

 あわせて、特定の地域で発生する暴力的な事件などに対して「民度が低い」などと揶揄をし、その地域・県民全体をバカにするような傾向もある。(これは沖縄だけでなく、他にも複数の地域がこうした対象で蔑まれることがある)

 第一の事件の高校生は、眼球破裂の大怪我を負うこととなった。まだ不確かなことが多いとはいえ被害者である。にも関わらず「深夜徘徊していたんだから警察にこのような対応をとられても仕方がない」という、いわゆる「自己責任論」のような意見も支持され、拡散されることとなった。

 ネット世論では、潔癖な被害者像が求められる。少しでも被害者に瑕疵(かし)があるとされれば、「それなら仕方がない」と冷笑的な言葉が飛び交う。

 今回の一連の事件は「被害者の属性がヤンキー(っぽい)」「学力の水準が低く、問題の多い沖縄」「落ち度がある(と勝手に判断している)被害者」など、ネットで叩かれやすい複数の要素が重なることで、批判はエスカレートし、誹謗中傷へと変わる。麻雀で強い役が重なって数え役満になるようなものだ。

根拠なく結びつけられたイデオロギー

 さらに、沖縄の場合は政治的なイデオロギーと雑に結びつくことによって「この騒動の背後には◯◯が存在しているように思える」といった根拠のない情報、あるいは「この若者たちは素晴らしい」とさらに煽るかのような投稿をする人たちも出てきた。

 結果的に事実に基づいた批判ではなく、各々が都合のいい意見を表明し続けることによって当事者や問題の本質がそっちのけになり、話がどんどんと大きくなっていく。

 それらを防ぐためには、発生した出来事を分解して捉え、複数の報道などからどこまでが事実でどこまでが噂なのかを確認しながら、SNSに投稿することが求められるだろう。

 最後に、重症の被害者の回復を祈り、沖縄署が適切な説明を行うことを願います。また、こうした事件が二度と発生しないよう、私もできることを考えて動きたいと思います。

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