「沖縄署騒動」とネット言論 問題点を冷静に振り返ってみる

 

第三の事件

 非常に分かりやすく、一般の興味を惹きやすい絵面の「第二の事件」は大々的にメディアに報じられた。その結果、ネット上ではこの第一・第二の事件に関する様々なコメントや書き込みが並ぶ。

 その中には、被害にあった少年への誹謗中傷・侮辱、あるいは沖縄県民への差別、また「この事件の背後には◯◯がいる」などの陰謀論、さらには第二の事件を称賛し「私は昨日、確かに石を投げた」とFacebookに投稿した地方議員まで現れた。こうしたネット上での「熱狂」を今回は第三の事件と定義したい。

 第一・第二の事件と比較すると「ネットのコメントなんてたいしたことない」と感じるかもしれないが、ネットの書き込みは時に人の心を深く傷つけ、命を奪うほど追い込むことがある。デコピン一発だと少し痛いくらいだが、デコピンも10万発くらうと命に影響するからだ。

第二、第三の事件で熱狂した人々の共通メンタリティ

 この別々となる三つの事件の問題点は複雑に絡み合っている。

 第一の事件は、警察の対応(接触時とその後の説明)、あわせて青少年の深夜徘徊や暴走行為が発生する地域社会の状況などが問題になるだろう。

 第二の事件の問題は、(当時の段階では)不確かな情報がSNSなどで拡散され、「投石」までエスカレートした抗議になってしまったこと。

 そして第三の事件では、報道を見聞きした大衆が、不確かな部分をすっとばし、自分が信じたいストーリーを構築して誹謗中傷や差別、あるいは煽動するような書き込みを行なったことだ。

 こうして見ると、「リアル空間」「ネット空間」の差はあれど、第二の事件、第三の事件で熱狂した人たちは、不確かな情報を基に行動したという意味で、似たようなメンタリティであると見ることもできる。

「潔癖な被害者」でなければ認めないネット民

 第一、第二、第三…と出来事が連鎖していく度に、野次馬が増え、関わる人数も増えていく。単純な確率の話で考えると、第一の事件の被害者になるよりも第三の事件で野次馬気分で加害に及んでしまう可能性がすごく高い。

 私の専門分野でもあるので、ここでは第三の事件のネット言論について特に掘り下げたいと思う。

 現在は多くのユーザーがSNSなどを利用しているため一括りにすることは難しいが、ネット言論の中では、いわゆる「ヤンキー」と呼ばれる人たちに厳しい態度をとる傾向がある。

 以前はネットスラングとして「DQN(ドキュン)」という言葉が掲示板などで多様されていた。DQNとは、粗暴で非常識な行動をとる人を指す言葉で、いわゆるヤンキー・不良層を叩く言葉として使われていた。

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