オミクロン株「ピークが見えない」 沖縄「1日千人」が分かれ目

 

 年明け早々から沖縄県内の新型コロナウイルスの新規感染者数は急激に増加し、1月3日は130人、4日は225人、5日は623人と、歯止めが利かない状況に陥っている。玉城デニー沖縄県知事は「第6波に突入した」と危機感を強め、まん延防止等重点措置への移行を政府に要請する構えだ。

 沖縄県医師会副会長の宮里達也医師(北部地区医師会病院)は感染力の強いオミクロン株が拡大し続けていることについて「ピークが見えない」と警鐘を鳴らし、1日あたりの新規感染者数が1000人に上ることも視野に入れる。

 宮里医師にオミクロン株の特徴や現在の医療状況の他、今後の観光業などの再生に向けた道筋を聞く。

感染力の強さ「同じ病気とは思えないほど」

宮里医師

―年始から早速爆発的にコロナ感染者が増え、第6波を迎えてしまいました。

「忘年会シーズンの感染拡大が数字に表れている他、現場からはすでに、年始で家族や友人などから感染したケースが上がり始めています。ピークが見えない状況です。陽性者ではあるが無症状だという人がこれまで以上に頻発していています。新規感染者が1日1000人を超える可能性は大きいです。

 オミクロン株は、これまでと比べるとかなり感染しやすいという特徴があります。感染力の観点から言えば、まるで同じ病気とは思えないほど強いです。濃厚接触者の陽性率がかなり高く、ウイルス量も多いです。

 アメリカでは1日100万人以上が感染されていると報じられていますが、沖縄でも一旦ウイルスが入り込むと、このように非常に多くの新規感染者が出てくることもあり得ます。水際対策だけで完全に防げる病気ではありません」

―症状などの違いはあるのでしょうか。

「あくまで現時点の観察の印象であり断定はできませんが、現場からの報告では、一度コロナに感染した人が再度感染してしまうというケースも見受けられています。また、熱が出ていなくても強い倦怠感が出る場合も多いようです」

―どのような対策を取るべきでしょうか。

「対応としてはこれまでと同じです。世の中を落ち着かせるために外出などは自制してほしいと思います。重傷者が少なく無症状の人が比較的多いことは一つの事実として言えますが、高齢者など体の弱い人に感染させてしまうのが心配です。このままでは本当に重症の人しか病院に行けなくなってしまいます」

―今後の医療体制は持ちこたえられそうでしょうか。

「年末までの段階で、1日あたり1000人の新規患者が出ても対応できる準備をしています。逆に言えば、1000人を超えると医療が持たなくなるという基準を示していることにもなります。民間も含めた急性期医療の各病院に呼びかけて、ベッドを確保しています。しかしその上で、従来株とは特性の違うオミクロン株に合わせた治療体制の在り方を議論する必要が出てきます。

 ゼロコロナは、完全に鎖国でもしないと実現できません。このような感染症は、患者が全くいなくなるということはなく、一定の感染を受任しないといけない側面もあります。しかしその一方で、医療機能は向上しています。ワクチン接種3回目が始まり、治療薬もできています。当初の致死率は1%を超えていましたが、第5波の時には0.55%にまで改善されています」

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