HipHopダンスで世界大会決勝へ 英国で1万人動員 沖縄の中学生がのめり込んだフリースタイルの魅力

 

 その傍ら、プリンスさんは日本で教師の仕事をしながら、子どもたちの個性の表現へのハードルやその要因もひしひしと感じてきた。

 公立中学校の英語教師をした経験や自身が見てきたアメリカなど欧米との教育観の違いをあげ「日本は『これが基本、こうする方がいい』という教え方が強い。環境的にも制服があったり、意見交換するよりも先生の話を静かに聞いたりする方が重視される文化。なかなか自分を表現する土壌ではないと感じた」という。さらに最近は子どもを取り巻くSNSの世界でも「『インフルエンサーについていく大勢』と『より強い個性を表に出して大衆を引っ張っていく人』に分かれつつある」と説明する。実際に花凛さんも「以前は人と一緒に踊ることが楽しかったし、教えられた振り付けをできた達成感がうれしかった。フリースタイルを踊る時は自由に表現してと言われてもそれ自体が難しいと感じていた」と思い出す。

子どもを変えた「ダンスを通して考える力」 

一人一人、2021年前半の自己評価と後半の目標を発表するプログラム

 転機は2年前、花凛さんは憧れのダンサーを見つけた。10代で世界的なダンスバトルにも出場するフリースタイルダンサーで、K-POPグループの振り付けもするプロダンサー「ReiNa」さんの動画を観た。

 ちょうど同じ頃、通っているダンススクールでフリースタイルを強化するために受けたダンススクールでの夏のトレーニングで自信をつけるようになり、屋外のストリートで開放的な気分で踊って徐々に自分の心をオープンにして、体を動かせるようになった。「自分がやったことない新しい動きをやってみると勝手に楽しくなった」と笑顔を見せる。

 「表現に時間がかかる時は待つし、最初は抵抗感を示してもとにかく続けさせてみる。そうすることでフリースタイルへの態度も変わっていった」とプリンスさん。花凛さんが参加するレッスンでは自己表現の一環として、ダンスだけじゃなく議論の場も多く取り入れた。「お互いのダンスに対して仲間でおもしろいところやいいところを積極的に意見交換をさせる。オープンなコミュニケーションをする姿勢をつけさせるため」と説明する。

テーマに沿ったダンスを発表し、意見交換する花凛さんら

 この1、2年、やっと自分の内側から動きたいダンスをするようになった花凛さん。世界大会は来年8月予定。レッスンがない日も毎日3時間ほど練習して目標の優勝を目指す。「フリースタイルをやってついたのは自信。やってみることが大事だとがわかるようになったから。それは学校の勉強とかでも生きている」と前を向いている。 

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