遠山光一郎の「沖縄VSアジア国際都市」6:各国で進む観光再開計画

 

 タイでは観光地であるプーケットで「サンドボックス」、コサムイにおいて「サムイプラス」と呼ばれる観光再開計画も開始された。いろいろ条件があるがワクチン接種済み旅行者は、14日間強制隔離を免除され、リゾート地で自由に行動できる。首都バンコクの受け入れ再開も10月中旬からと発表されたが、一部で反対の動きも出ているようだ。

 マレーシアの国際的リゾート、ランカウイ島でも9月16日から移動規制を緩和して国内から観光客の受け入れがスタートした。今後、体制を整え海外との観光再開も進めたい考えだ。インドネシアでは国際的観光地であるバリに優先的にワクチンを供給し対応したことからも海外との観光再開を望む政府の意気込みが感じられる。バリとシンガポール、ニュージランド、韓国など比較的感染が抑えられている国との観光を10月から再開する発言も政治家から出ているようだが、これまでも再開発言後に何度も延期になった経緯があり先が読めない。

 シンガポールでは昨年末から度重なり準備していた香港とのトラベルバブル(特定の近隣国・地域同士との域内で行き来ができるようにすること)は再々延期になったが、9月からPCR検査を数回受けることを条件に、ドイツとブルネイからの旅行者を隔離なしで受け入れている。各国の試みは国内感染状況の急速な変化と観光再開相手国の感染状況変化により大きく影響を受けるため、状況は常に手探りで予断を許さない。 しかし、各国ともにワクチンの重症化予防効果が統計上に現れていることを背景にワクチン接種をより加速させるとともに、精力的に国内や海外からの入国者用感染予防ガイドラインをその時々の状況に対応しながら構築を急ぎ前進している。

沖縄もエンデミックを見据えた対応を

 観光分野において沖縄のライバルとなるアセアン諸国、観光地が様々な施策を進めていく中、沖縄もエンデミックに対応するガイドライン作成を急ぎ、日本において、しっかり感染に対応できる県となることが重要であると思う。国内マーケットがあるため国内客の受け入れから徐々に始めることは理解できるが、海外マーケットを完全に後回しにしていけば、海外マーケットに依存しているため準備を必死になって進めているシンガポール、バリ、プーケットなどのライバルに先を越されるであろう。 市場が動いた時の競争に対応するためにも、相互観光の対象となり得る国、地域とのデータを入手してパートナー国や地域との様々な計画を進めることは重要なことだと思う。那覇空港の第二滑走路もでき、新たなステージに入らなくてはならない沖縄観光はエンデミックを見据え 、エンデミックによる社会変化を見越した戦略の構築が求められる。

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