琉球コラソンに新指揮官 元女子日本代表監督 黄慶泳氏就任

 

(左から)琉球コラソンの水野裕矢社長、黄慶泳監督、石田孝一GM

 ハンドボール国内最高峰・日本リーグ男子で歴史と実績ある実業団チームがしのぎを削る中、リーグ加入14年目を迎えるクラブチーム「琉球コラソン」。スポンサー獲得やファンクラブ、試合の入場料収入で運営を続け、大部分の選手が別の仕事との二足の草鞋を履きプレーしているが3季前は最下位、前季の2020-21シーズンは11チーム中10位と厳しい状況だ。そのチームに、実績ある指揮官が”自ら”コラソンにオファーして新監督に就任した。

コラソン初の外部監督

 4月23日、県庁で行われた記者会見で就任が発表された黄 慶泳(ファン キョンヨン)新監督。韓国出身の52歳で、男子韓国代表や女子日本代表コーチ等を皮切りに、国内では監督として日本リーグ女子のオムロンで7回、東アジアクラブ選手権3回の優勝を始め、2008~12年には女子日本代表監督を務めた。一昨年にオムロンを退団し、現場復帰は2年ぶりとなる。

 実業団チームと比べ財政面では厳しいコラソンにとって、簡単に招聘できる監督ではない。実際にこれまで指揮を執った歴代3人の監督は、元々県内のハンドボール指導者やコラソン選手OBといった、金銭面などの条件でなく、沖縄のハンドボールに関係者として貢献したいと”心意気”に重きを置いて就任してきた。その意味で黄新監督はチーム初の外部指揮官だ。他にオファーもあった中、黄監督は志願して沖縄に来た理由を、指導者生活で培ってきた日本語で自ら説明した。

 「同じハンドボール界で、(コラソンが)苦しい状況でもチームの運営面で努力されている姿を見てきました。今は発展途上のチームですが、ともにその中で泥臭く汗を流してともに成長できるチームでまた(自身も)再スタートしたいという思いの中で、最初に頭に浮かんだのが琉球コラソンでした。私から(監督就任で)声を掛けたのは今まで自分の人生の中で初めてです。その思いをチームが受け取ってくれてここにいます」

就任発表記者会見の様子=4月23日、沖縄県庁

機動力のステップアップ

 大卒・高卒で有望な国内選手の行く先は、まず日本リーグの上位チームだ。男子では大崎電気、トヨタ車体、前季初優勝を飾った豊田合成など、社員としての仕事もあるが、その分給与などの雇用保障、住居、練習時間や場所といった環境は整えられている。そして、これらのチームのトライアウトに合格はならなかったものの、トップリーグでプレーを続けたい選手が次に目を向けるのが、コラソンなどのクラブチームである。気持ちでは負けないものの、体格に恵まれた新人選手の入団は少ない。

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