シーズン折り返しで14位のFC琉球 「1年でのJ2昇格」へ正念場続く

 
前半2分、ペナルティエリア内からゴールを決める白井陽斗(中央奥)=22日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム(長嶺真輝撮影)

 サッカーJ3で13位のFC琉球は22日、ホームのタピック県総ひやごんスタジアムで16位のY.S.C.C.横浜と今季第19戦を行い、2ー2(前半1-2、後半1ー0)で引き分けた。琉球はこの試合を終えた時点で今シーズンの半分を消化し、通算成績は7勝9敗3分、勝ち点24。順位は20チーム中、14位に下がった。「J3優勝」「1年でのJ2昇格」を掲げて臨んだシーズンだが、正念場が続く。

前半2失点でリード許す 同点止まり

 横浜戦は、開始2分で試合が動いた。左サイドでボールを持ったMF白井陽斗が中央のFW金崎夢生にパスを出し、ダイレクトで縦に流す。それに反応した白井が相手ディフェンスラインの裏に抜け出し、ペナルティエリア内から右足でゴール右隅に突き刺した。

 早速先制点を挙げ、琉球が優位に試合を運んでいくかに見えたが、前半9分に中央にパスを通されて失点。さらに前半26分にも左サイドを崩され、またも中央でフリーの状態から追加点を許した。

 喜名哲裕監督が「守備のところでミスマッチが多く、相手をサイドに誘導してボールを奪おうというプランニングの中でなかなか相手を捕まえることができなかった」と振り返る通り、前半はパスでつながれて主導権を握られた。しかし、後半は負傷から復帰したFW野田隆之介主将やMF清武功暉が前線に入ると、前からのプレッシャーを強めて守備の安定感が増した。

後半、シュートを放つ中野克哉

 すると後半9分、技ありのロングシュートが飛び出す。センターライン付近でパスカットしたMF中野克哉が目線を上げた。「相手キーパーが前に出てくるというのはスカウティングしていたので、試合前から狙おうと考えていた」と、迷うことなくシュート。40m以上の放物線を描き、相手GKの頭上を越えてゴールネットを揺らした。

 ホームで勝ち点3を獲得したい琉球は最後まで攻め込んだが、あと1点が奪えず同点のまま試合終了のホイッスルが鳴った。

DF上原「前半の失点を防ぐことが大事」

後半からピッチに入り、ディフェンスで体を張った上原牧人

 試合後、シーズンの前半戦を振り返った喜名監督は「みんなが思い描いたような順位ではないですけど、J2昇格に向けて諦めてる選手は誰一人いませんし、日々のトレーニングでハードワークしてくれています。一つ一つ積み上げながらチームは成長していると思います」と前向きな姿勢を示した。

 一方で、J3優勝を目標に掲げる中、1位のカターレ富山とは勝ち点12の差がある。それを念頭に、指揮官は「余裕もないですし、一つ一つの試合を勝たないといけない。チームとしてプレーモデルを構築しながら1試合ずつ勝ち点3を取りに行くことで、それがゆくゆくは上位に食らいついていけることにつながると思います」と危機感も語った。

 途中出場で体を張った守備を見せたDF上原牧人は、シーズン後半戦に向けて「前半の失点を防ぐことが一番大事だと思います。点を取り合ったり、早い時間に取られたりしてズルズルいって負けてしまう試合も多いので。ゼロで守り、チャンスで複数点を挙げて勝つことを目指し、気持ちを引き締めてやっていきます」と気合を入れた。


長嶺 真輝

投稿者記事一覧

ながみね・まき。沖縄拠点のスポーツライター、フリーランス記者。
2022年3月まで沖縄地元紙で10年間、新聞記者を経験。
Bリーグ琉球ゴールデンキングスや東京五輪を担当。金融や農林水産、市町村の地域話題も取材。

この著者の最新の記事

関連記事

おすすめ記事

  1.  サッカーJ3のFC琉球が、第2次金鍾成(キン・ジョンソン)監督体制下の初陣を白星で飾った…
  2. 今季から琉球ゴールデンキングスに加入したアレックス・カーク(左から2人目)やヴィック・ローら=16…
  3.  FC琉球の監督が、また代わった。  サッカーJ3で20チーム中18位に沈む琉球は1…
  4. 戦前に首里城正殿前に設置されていたバスケットボールゴールを再現した首里高校の生徒ら=8月27日、那…
  5.  8月12日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール市民交流室は熱気が渦巻いていた。ステー…

特集記事

  1. 再びFC琉球の指揮を執ることになり、トレーニング中に選手たちに指示を送る金鍾成監督=19日、東風平…
  2. ヴィック・ロー(中央)の入団会見で記念撮影に応じる琉球ゴールデンキングスの(左から)安永淳一GM、…
  3. 沖縄県庁  沖縄県は、地域の緊張を和らげようと、4月から「地域外交室」を設置し、照屋義実副知…
ページ上部へ戻る ページ下部へ移動 ホームへ戻る 前の記事へ 次の記事へ