女性社長の比率、沖縄が11.6%で10年連続トップ 観光業など影響か
- 2022/12/4
- 経済
調査会社の帝国データバンクによる国内の女性社長比率に関する調査で、都道府県別で沖縄と徳島が11.6%で同率トップだった。全国平均は8.2%で過去最高となったが、一桁台から脱せず、依然として低い水準が続いている。沖縄は観光業や小売業など、女性の従事者が多い産業が活発であることなどが影響していると見られる。
製造業多い地域は割合低く
集計対象は株式会社、有限会社、合同会社、合名会社、合資会社。10%を超えたのは6県あり、沖縄、徳島に続き、青森10.9%、佐賀10.4%、奈良10.2%、高知10.1%となった。
沖縄の詳細は、県内の社長12,914人のうち女性社長は1,496人。13年連続で全国最下位となった岐阜(5.8%)など女性社長が少ない製造業が多い中部地方に比べ、沖縄は女性の従事者が多い観光業や小売業が盛んなため、女性社長の比率が比較的高くなっていると見られる。
今年6月に帝国データバンク沖縄支店が発表した県内の企業動向調査ではこれまでの経過についても触れており、データを遡れる1990年時点(全国平均4.5%)では沖縄は3.0%で全国46位だったが、2007年に全国平均を初めて上回った。2013年には全国トップとなり、その後も上昇を続けている。
6月の報告書では、同支店は「沖縄県の女性は一般的に忍耐強さに加え、パワフルさも兼ね備えているため、自身で起業、あるいは同族承継の後継者として配偶者や息女が起用されるケースが多いことも要因の一つと考えられている」と分析していた。
沖縄も依然低水準 代表が男性のみの経済イベントも…
2022年4月に改正女性活躍推進法が施行され、女性活躍に関する情報公開の対象が従業員数301人以上から101人以上の企業に拡大されるなど、女性がより活躍できる社会づくりに向けて法整備が進められている。
しかし、世界経済フォーラム(WEF)が世界の男女格差の状況をまとめた2022年時点の「ジェンダーギャップ指数」において日本は146カ国中116位で、主要先進国の中で最下位が定位置となっている。特に経済や政治の分野では遅れが顕著であり、SDGsの観点からも女性活躍の推進が世界的に叫ばれる中、後塵を拝している。
沖縄も国内では女性社長の比率は高いが、経済関連のイベントで登壇する代表者はほぼ男性が占めている、もしくは女性が一人もいないということは珍しくない。県内大手では男性の育児休暇の取得を推進したり、企業内託児所を構えたりするなど少なからず前向きな動きは出ているものの、まだまだ主流とは言えないだろう。
保育所の整備や保育士の待遇改善といった行政による社会インフラの整備と合わせ、事業者ごとでも能力に応じた社員の適正な評価やテレワークの推進、男女ともに育児休暇の取得しやすい組織風土の醸成などをより進めていくことが、女性がより活躍できる社会づくりを後押しすることにつながるのではないだろうか。