【那覇市長選】翁長氏、知念氏が告示日に語ったこと 選挙戦開幕
- 2022/10/16
- 政治
任期満了に伴い、10月23日に投開票を迎える那覇市長選挙が告示された。無所属新人で「オール沖縄」勢力が支援する前県議の翁長雄治氏(35)=立民、共産、社大、社民、れいわ、にぬふぁぶし推薦=と、同じく無所属新人で政権与党が推す前那覇市副市長の知念覚氏(59)=自民、公明推薦=の2人が立候補している(届け出順)。16日に両者は那覇市内で翁長氏は出発式を、知念氏は出陣式を実施。7日間にわたる選挙戦の火蓋を切った。
翁長氏「最優先されるべきは子どもたち」
翁長氏は安里の栄町市場で第一声を上げ、夕方に泉崎の県庁前県民広場で出発式を開いた。翁長氏が県庁東側の下り坂道を走りながら登場すると、黄緑のハチマキを巻いて結集した支持者らは大きな拍手やパーランクーの音で出迎えた。
「最優先されるべきは、子どもたちです」としっかりと語りかけるように切り出した翁長氏。自身が給付型奨学金の対象外で受けることができなかった経験を踏まえながら「子どもたちに予算を充てることがどれほど重要かを分かっている候補か、そうでないかが大きな分かれ道だと思います」と訴えた。
いわゆる”沖縄振興と基地政策のリンク論”については「(政治的な考え方で)距離感があっただけで税金の使い方が変わるというのは大変おかしな話です。私たちは平等に納税していませんか」と政府を批判し、「相手候補は、基地問題には『苦渋の決断があった』という話をしていますが、みんなで真剣に考えて出した『苦渋の決断』をないがしろにされているからこそ、私たちは『苦渋の決断』はもうしないという決断をしたのではないでしょうか」と声を大にした。
35歳という若さが、相手陣営からネガティブに発信されているとして「私たちは若い人に『政治に参加しよう』『政治に興味を持とう』と言いませんか。年齢でそれをつまむようなことがあっては、これから若い人はどうしたらいいですか」と疑問を呈した上で「そういった方々は、本当に若者支援ができるのでしょうか」と応酬してみせた。
「みなさんの声を必ず形にして参ります」と声を張り上げ、ラスト1週間での支持・協力を呼び掛けた。
応援弁士には選対本部長の玉城デニー沖縄県知事や赤嶺政賢衆議院議員、選挙母体「ひやみかち・うまんちゅ市民の会」の宮里千里会長らも登壇した。
玉城知事は「4年前は(知事として)初心者、1年生だった玉城デニーも、4年間、県知事として仕事をさせて頂きました。実績はその人が作るものです。与えられるものではありません」と話し、翁長氏の行政経験や実績の無さを指摘する声に、自らの経験を以って反論した。
知念氏「全身全霊で那覇市に尽くす」
「那覇市で38年間働いてきました。“即戦力”であることを信じていただきたい」
自身の出身地である首里の鳥堀交差点で第一声を上げた知念氏。出陣式はおもろまちの後援会事務所に移動して行い、多くの支援者が駆けつける中でマイクを握った。自身のキャリアがすなわち行政実績であることを強調しつつ、コロナ禍の直撃で厳しい状況に陥った経済や市民生活を立て直すために「即効性のある政策を打ってまいります」とアピールした。
「私の59年の人生、全て那覇で過ごしてきました。その全てを賭けます」と、那覇市への思いを語りつつ、自身の経歴を振り返る。副市長として市政運営に関わった8年間は「持てる力を全て発揮しながら那覇市のために尽くしてきた」といい、行政に携わる中で地方自治とは「市町村が各々の立場を尊重して、意思を統一していくこと」と見出したという。「互いの意思を尊重しなければ平和なんて生まれません」として、これからの社会では「イデオロギーを超越していくことが求められている」と訴えた。
また、那覇軍港の移設・跡地利用計画についても触れ、「都市基盤の要」と位置付けた上で「松本哲治浦添市長が苦渋の決断で受け入れてくれた信頼を裏切らず、タッグを組んで強力に進めてまいります」と語気を強めた。
「那覇市政は甘くはありません」と自らに釘を差すように述べ、「私はそれだけの覚悟を持って臨んでおります」と続ける。「皆さんの1票を是非私に託してください。全身全霊で那覇市に尽くしていきます」と支持を求めた。
応援弁士には国場幸之助衆院議員や金城泰邦衆院議員や、「チーム沖縄」代表の松本哲治浦添市長らが駆けつけた。松本市長は松川正則宜野湾市長と徳元次人次期豊見城市長とともに壇上に上がり、「宜野湾、浦添、豊見城、そして要の那覇市を新たなメンバーとして迎え入れて、西海岸の港湾を整備し、これからの沖縄経済を牽引する体制を作っていきましょう」と気勢を上げた。
那覇市選挙管理委員会によると、10月15日現在の選挙人名簿登録者数は25万7,645人(男性:12万3,259人、女性:13万4,386人)となっている。期日前投票の期間は17~22日。また、市長選と同日の告示、投開票で那覇市議補選(欠員1)も実施される。市議補選には届け出順に、いずれも無所属の上地健司氏(42)、川満昇治氏(57)、永山盛太郎氏(58)、「官と民が命がけで助け合えば貧困はなくせます党」の屋辰夫氏(70)が立候補している。