【参院選】接戦の伊波氏と古謝氏 安全保障と福祉政策を比較する 沖縄選挙区
- 2022/7/6
- 政治
7月10日の投開票日が迫る参議院議員選挙。沖縄選挙区では改選1議席を争って5人の候補者が名乗りを上げる中、届出順に無所属現職の伊波洋一氏(70)と自民新人で公明推薦の古謝玄太氏(38)が事実上の一騎打ちを繰り広げている。2回に分け、両氏の政策を比較するシリーズの2回目のテーマは、安全保障と福祉の政策だ。
1回目は以下を参照。
【参院選】伊波氏と古謝氏の経済政策は? 沖縄選挙区 | HUB沖縄
辺野古移設は伊波氏「反対」、古謝氏「容認」
沖縄選挙区における大きな争点の1つである米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設については、2人の主張が明確に分かれる。
「基地のない平和な沖縄」の実現を掲げる伊波氏は、移設に反対した上で普天間飛行場の閉鎖·撤去、輸送機オスプレイの配備撤回を求める。「基地返還を促進させ、基地従業員の雇用問題や跡地利用に取り組みます。独自の歴史や多様性を持つ沖縄を『平和の拠点』として活かします」として、基地由来の有害物質PFAS(有機フッ素化合物)汚染問題解決への取り組みも強調する。
一方の古謝氏は、「普天間飛行場の危険性除去は待ったなし」の状況であるとの認識を示し、辺野古移設を「容認」する。自民公認候補は近年の国政選挙で争点化を避ける傾向があったが、古謝氏は容認を明言している。米軍に騒音被害を最小限に抑えることを求め、「嘉手納以南統合計画を早期に実現するなど、基地負担の確実な軽減を促進します」と訴える。
米軍関係者による犯罪や基地由来の環境問題に関連し、度々問題視される日米地位協定については、両氏とも「改定」を訴える。伊波氏は「出入国や環境に関する国内法の適用や航空特例法の廃止等を実現します」と主張。古謝氏は「合同委員会の議論に沖縄が参加する枠組みの実現を目指します」としている。
南西諸島での自衛隊配備強化でも見解に違い
双方とも「2度と沖縄を戦場にしない」との認識は共通しているが、八重山や宮古などの南西諸島で配備·機能強化が進む自衛隊については見解に違いがある。
伊波氏は軍備拡大により、有事の際に沖縄が攻撃対象となることを懸念し、「専守防衛を踏み越えるような膨大な軍備拡大は認められません」と強調。「住民合意のないまま地域に分断を持ち込む」として南西諸島への自衛隊のミサイル配備に反対している。
古謝氏は日本周辺の安全保障環境が緊迫化しているとの認識から、ミサイル配備に理解を示す。平和外交を基軸に「周辺地域との対話をより深めていきます」とした上で「ウクライナ情勢に学び、沖縄を取り巻く安全保障環境を踏まえた県民の安全確保を追求します」としている。